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[日記](読書) 悪意の森(タナ・フレンチ) [日記]


アイルランド・ダブリン在住、そしてダブリンを舞台としたミステリー、
タナ・フレンチの「悪意の森(In The Wood)」の感想と記録。

少年時代に近くの森で友人・2名が行方不明になった過去をもつ刑事ロブ
相棒キャシー、同僚サムとともに遺跡発掘現場で殺された少女の事件を追う。

この殺された少女が見つかった遺跡発掘現場は、過去ロブが友人をなくした
「森」であり、小さい町であることから、自身の事件との関連性も疑う。

殺された少女の近親者、遺跡発掘メンバーと自身の過去の事件の関係者を
キャシーと共に聞き込み調査を行うが、明確な「線」が見えてこないまま・・。

ぶっちゃけ事件としては、「現場」をしっかり捜査すれば
別に迷う事は無かったんじゃないの?と思うような「犯人」ではないんですが、

途中、発掘現場の利権をめぐる捜査とか、過去の事件捜査とか
なんかもう、途中下車というか振り回し感が多い。

でも、この小説が気味が悪いのは(面白さともいう)、「真犯人」の存在と
その性格というか・・・、その結末というか・・・

ただそれも「やっぱりその人ですよね」という感じではあるので、
ミステリーとしてどうなのかなぁ、とは思う。ただ気味が悪い感じ。
なんとなく「皆が気が付いてるんだけど手が出せない」みたいな、恐怖。

作品として、すこし、読みにくいというか
心理を描く文量が多いので、先に進み難い感じがある。
それが面白いという人にはぴったりだけど、ストーリーを追いたい人には
少しまどろっこしい(=私)

それで、結局過去の事件ってなんだったんだろう・・という感じもあるので
そういう意味でも少しスッキリしない。
特にアイルランドっぽい、という感じでもないし、なんとも微妙。

とはいうものの、「真犯人」の気持ち悪さ、気味悪さは
特に下巻の中盤あたりから終盤は一気読みという感じなので、悪くない作品。

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[日記](読書) 壊れた世界で彼は(フィン・ベル) [日記]


ニュージーランド発のミステリー、「壊れた世界で彼は」(フィン・ベル)の
感想と記録。いままで、オーストラリアを舞台としたミステリーは読んだことあるけど
ニュージーランドを舞台した作品は読んだことなかったので、
自然現象(気象)や民族の話が少しでてくるのでそれだけでも面白かった。

物語はニュージーランドの南島・ローレンス外れの小さな町での人質事件が発端。
刑事ニックと相棒(先輩)トーブも呼ばれ、事件現場赴き
ギャング5人が4人家族を人質に取っていることを知った直後、犯人が発砲し、
立てこもった家で爆発が起き、家族四人中、母、娘二人はけがを負うものの
ギャングたちは5名は死亡、父はもう一人いたと推測されるギャングとともに
行方不明となってしまった。
ニックとトーブは、事件の真相と行方不明の家族の父親を捜すべく捜査にあたる。

舞台がニュージーランドの3月頃(復活祭)なんだけども
南半球なので、南島(の南部)はドンドン寒くなっていく。

この作品は、事件を追うニック、トーブを中心とした章と
行方不明となっている父・ギャングを中心とした章、
そして、ニュージーランドの気象(嵐)を情緒的にかたる章の主に3つで構成している

死んだギャングは大物組織の錚々たる面々。
拉致された家族(父親は行方不明)にもギャングとつながるような前科もなく
元々富裕層のアジア人で、息子の病気を治療するため文字通り全財産を投げすて
息子を病魔から救ったものの、その直後に息子を事故で失っているという
悲劇の家族。

なぜギャングがこの家族を狙ったのか、
父親はどこにいるのか、
逃げた犯人は誰で、どこにいるのか(父親の行方と同じのはず)
そしてドンドン寒くなるニュージーランド
逃げたとされる場所では長く生き抜くことはできないと予想され
焦るニック、トーブ。

さらになぜか、捜査で名前があがった内部監査官がニックの目の前で自殺
死に間際の会話で、事件とかかわっている可能性があがるが
関連性がつかめないまま、どんどん時間だけが過ぎる。

みたいな感じで、物語が進んでいき、思わぬ展開で事件が解決、
物語も幕切れ。すごい凝縮された一冊だと思うし、面白かった。
なるほど、そういうオチになっていくんですね・・。

フィン・ベル、全く知らない作家さんですけど、
この作品のまえに「死んだレモン」という作品でデビューしているので
そちらも読んでみたい。

復活祭は信者をつくる(The Easter make believers)というタイトルはの意味が
ちょっとわからないのですが、日本語タイトルの
「壊れた世界で彼は」という「彼」とはニックなのか、家族の父親なのか。



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[日記](読書) MEMORY(本多孝好) [日記]


葬儀屋・森野、長馴染みの神田の恋愛小説3部作の完結、「MEMORY」の感想と記録。
今回も短編連作の形態。いかにも本多孝好らしい。

今回は「MOMENT」、「WILL」でサブエピソードとして森野、神田が語ったシーンを
第3者の視点から改めて思い出している(なので、「MEMORY」だと思う)

1つ目は森野・神田が中学生時代のハナシ。
葬儀屋(お店)と森野を「死神」として追跡した当時小学生(と中学生)が
大人になって二人を思い出す。中学生時代の森野も、大人の森野同様「厳しい」が
ここで森野が「巴投げ」をして自主停学中ということと
それを応援したい(というか森野への片思い)後輩の気持ち、神田がそれを
何気に妨害する行動が語られている。もう一つは、男女の友情、幼馴染カップルが
もう一つ誕生している・・。

2つ目は森野・神田が高校生時代のハナシ。
いじめられっ子の二人(森野、神田ではなく)を中心に
両親を事故で失い悲しむ森野に「どう接していいかわからず悩む神田」。
前作まででは、森野が泣き止むまで「ポケットティッシュ」で寄り添った神田が
語られていたが、そこに至った背景がわかる。
決して、「頭の良い」「頼りがいのある」「なんでもできてスマート」な
神田ではなく、森野に対する複雑な心境や苦悩がわかるような内容。

3つ目は少し過去のハナシ(森野)、で高校時代の部活動時代の友人関係のハナシ。
ソフトボールのエースだった女性が、卒業し就職したもののうつ病を患い、
現在の森野(葬儀屋を継いだ)に出会い、、回復することはないけど
すこし「ホッと」するような内容。中学時代に先生を巴投げしたエピソードにも
触れられている。

4つ目は少し過去のハナシ(神田)、で神田のアメリカ暮し(翻訳、出版関係)のハナシ。
最近亡くなった中年の作家(ゴーストライターが本業となった)の遺作の出版を巡り
その妻との会話を通して、「幼馴染」について語る。

5つ目は現在。森野、神田ファンとしては「納得」の完結。
違う病院に勤める若い看護師と患者、そして「MOMENT」で神田を苦しめた?
「必殺仕事人」の噂を通じて、「死」そして「生」がテーマのハナシ(と思う)
ここでも森野の中学時代の「巴投げ」事件の、森野の事情、神田の行動が語られる。
なんか、すれ違う二人が残念。誠実なんですけど、二人とも。


森野、神田の恋愛小説なのに、二人の恋愛話はほぼない。だから何度も読める。
二人の関係は何となくほっこりするし、残念なんだけど。

その他作品(シリーズ)も、再び読んでみたくなった。


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[日記](読書) WILL (本多孝好) [日記]


続いて、本多孝好の「WILL」の感想と記録。「MOMENT」から続く、神田と森野の
恋愛小説でもあり群像物語でもあるシリーズ第2作目。

タイトルの意味は最後に分かる、そのあたりの後読感、余韻を残すのがいかにも
本多孝好らしい。

前作では大学生の神田が、末期の患者の最後の願いをかなえる連作もので、
今回は前作でも登場したぶっきらぼうな葬儀屋の跡取り、森野が主人公で
葬儀屋らしく葬儀を終えたあとのアフターサービスのハナシ、といっても
幽霊騒ぎや、生まれ変わりだったり、大往生のお爺ちゃんの愛人問題の話だったり。

そんな森野自身、高校時代に突然、両親を失い、流れで葬儀屋を継いだものの
どこか両親に対する自問が続いている状態。ちなみに今作は
前作から既に数年たっていて、留学した神田も就職&再就職のアメリカ暮らし。
途中、神田と森野は付き合って、森野はプロポーズもされたのに
いまだ成就していない(というか、森野が断って、宙ぶらりんの状態)

二人の関係はハッピーエンドで今作で終わる、が
どちらかというと、二人の恋愛模様は「おまけ」のような感じ。

森野が事件?を解決しながら、神田と自身の存在を徐々に再確認していく
みたいな内容だと思う。

森野が解決する騒動では、「愛人騒ぎ」が一番好きかな。

前回で好きだった話同様、これも孤独な女性のハナシ。
不倫の末、自殺未遂。自殺未遂後、入院して親しくなった同い年の看護婦。
親しくなったその直後に女性は再び自殺(今回は助からなかった)。
そのきっかけは、ある女性からその女性に向けられた「言葉」。
結果としてそれが愛人騒動に発展するのだが、最後のお墓参りのシーンは良かった。

相変らず本多孝好作品は、「さっぱり」した感じがイイ。
でも、どこか「割り切れない」ところもあったり、単純な解決になっていないけど
なんとなく「ハッピーエンド」というか、「一歩踏み出す」みたいな感じがイイ。

本多孝好作品は、何度読んでもやっぱ面白い。

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[日記](読書) MOMENT (本多孝好) [日記]


本多孝好の三部作、「MOMENT」、「WILL」、「MEMORY」を再び読み始めた。
今回は、1作目、「MOMENT」の感想と記録。

本多孝好、好きな作家です。何度も読んで何を読んでいないのか忘れています。
デビュー作「MISSING」、「真夜中の5分前」などなど、何気に結構(ほぼ全て)
読んでいると思うし、このシリーズも何度も読んでいるんだけど、いつ読んだのか
忘れてしまったので改めてちゃんと読んで記録する。

タイトルのセンスも好きだし、勿論内容も好き。
こういうサクっとした、ほっこりな感じだけど残酷な現実みたいな群像劇が好き。

MOMENTの主人公も、名門大学生でサクっと頭が良く
シャレで応募した留学のコンペ(試験)をクリアするという何とも羨ましいが
彼女もいなければ、授業料を払うお金もなく、病院の掃除のバイト。
でも、卑下しているわけでもなく、淡々とバイトに励む。
なんかありそうで、なさそう、でないでしょ!?っていう設定。

これはシリーズものなので、今回はこの掃除バイトの神田が主人公で
末期の患者の最後のお願いを安いバイト代で叶えるという内容。
2作品目の主人公、森野(葬儀屋を継いだ女性)も出てくる。
涙、涙の感動(依頼)ではなく、少し皮肉な内容たちで、あっさりしている。

病院で知り合う患者さんも結構、普通に死んでいくし
バイト・神田に依頼する患者さんも、当然のように死ぬ(と思われる)。でも、
最期を看取るような語りはなく、「死んだ」或いは「その後は知らない」みたいな。

依頼内容の結末も、「そこ?」って感じで少し笑う感じだったりもするし
残された側の怒り(もどかしさ)だけが残る感じだったりするし
その後に余韻として悲しみが残ったりするのが、いかにも本多孝好作品と思う。

この人の作品は、大ヒットはしないだろうけど根強い私の様なファンが
多数といると思われるし、正直、「大ヒット」なんてしないでほしい作家。

個人的には、「(Firefly)蛍」が好きかな。
九州の田舎から東京に出てきて独りで頑張って生きてきて
最期(30才)に何を残せたのか、幸せだったのか、と自問する内容。
少し時代を感じるけど留守電のメッセージが、心に響く。
暑い夏には思い出して、という上田さんのメッセージ、神田は思い出すのかなぁ。

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[日記](読書) ひげよ、さらば(上野瞭) [日記]


久しぶりの異色作、上野瞭の「ひげよ、さらば」の感想と記録。

この作品は、1980年代にNHKで放送された人形劇の原作小説でもある。
私の心の中にずっとあった「一文字」と「ヨゴロウザ」、「ハネカエリ」という
奇妙な名前の愉快な猫たち。

正直、劇のちゃちな人形だったな以外、ストーリーなその他登場する猫たちの
風貌、名前の記憶は全くないのだが、どこか、ずっと片隅にこびりついていて
このほど、原作小説があるというのを知って読んでみた。

まず、「大長編」ということでハードカーバーにして、800ページ弱もの文量に
驚く。というか、その時点で読み切る自身がゆらぐ。

読み始めても、記憶にあった懐かしさは、最初の数ページを読んだだけで
満たされて、先に進まないというか、良くわからないストーリーに手が進まない。

記憶喪失の猫が、片目猫に出会う。原作小説では、「一文字」が「片目」となっいたり
若干、名前や登場猫が異なるみたい。結局、「ハネカエリ」は最後まで出てこなかった。
そもそも「ハネカエリ」がどんな性格だったのかも記憶になりのですが・・。

「片目」と「ヨゴロウザ」は、「ナナツカマツカ」の丘に住む(縄張りとする)
奇妙な仲間と性格(性癖)の野良猫たちに出会いながら、
片目の夢(=この丘に住む猫たちのリーダーになり、野良犬たちに対抗したい)の
実現のために説得を開始するが、猫たちの性格上、てんでバラバラ。

そんな中、ヨゴロウザと片目は、リーダーの資格として猫たちから条件をあたえられた
「アカゲラフセゴ」という供養塔と墓地を縄張りとする、野良犬たちの偵察に出向くが

野良犬たち(ハリガネ一派)に襲われ、片目とヨゴロウザは逃亡の末、はぐれてしまい
ヨゴロウザは、ハリガネたちを撃退、野良犬のもう一つの集団、タレミミ一派に
救われるが、この事件で、ヨゴロウザは片目を失い、穏やかな性格が激変し、
一足先に「ナナツカマツカ」に戻った片目とともに、再び、野良猫たちのとの
生活を再開するが、リーダーとなったヨゴロウザは、猫たちに厳しい訓練を強いる。
そして自らは、マタタビ漬けになってしまい、心と体を壊してしまう。
そんな中、ナナツカマツカ一帯にも厳しい冬が目前に迫り、
タレミミ一派が猫たちを襲う。

前半のかなりのページが、猫たちの紹介、しかもわけのわからない性格と名前の猫。
学者猫、うらない猫、歌い猫、まねき猫、黒ひげ、オトシダネ・・などなど
結構な苦行。ミステリーでもないので、ひたすら読んでいく感じもつらい。

中盤にはいると、野良犬たちとの闘争により少しだけ面白くなるが
ヨゴロウザの激変ぶりに、若干ひく。
終盤にはいると、野良犬たちとの対決になるので、ページをめくるスピードもあがり
結末まで一気読みという感じ。

ヨゴロウザは、最後、「ナナツカマツカ」に流れ着くまでの記憶がよみがえるが
決して、楽しい記憶ではなく、少し悲しい。というかかなり悲しい。
そして、なくした記憶を思い出すきっかけもかなりつらい。

終始、猫たち(野良、飼い猫)の悲しい性というか、厳しい人生というか
そういう切なさが小説全編を覆っているし、奇妙な名前以外は
子供向けの作品ではあるものの、かなりシュールで、大人向けだと思う。

NHK人形劇でどこまで、小説の内容を反映させたのか記憶にもないし、
わからないけど、よくまぁ、放送したなぁ、という感じ。
さすがに「片目」は「一文字」と名前を変えてはいるけども・・・。


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[日記](読書) 森から来た少年(ハーラン・コーベン) [日記]


スポーツエージェント・マイロンのシリーズが人気の作家、ハーラン・コーベン。
その新作、「森から来た少年(THE BOY FROM THE WOODS))の感想と記録。

面白かった。
流石、ハーラン・コーベン。現在の社会問題をうまくエンタメに落とし込んだな、と。

「システムには欠陥がある。それでもシステムはシステム」

人気討論番組を持つ初老の敏腕・女性弁護士、へスター。

富裕層の白人男性が浮浪者に暴行を加えた動画をもとに糾弾されている。
嘘かほんとか、前後関係、背景もわからないSNSの動画だけで、
罪が決まるのか、という問いかけからスタート。

続いて学校で行われているイジメ。悪びれず権利を主張するいじめっ子。
学校には子供を守るためにやとわれたガラの悪い警備員たち。
富裕層の友達の家で、贅沢なパーティをする子供たち。

ドラッグ依存には罪悪感がなく尿検査のタイミングに怒る大人。
自身の罪を隠すために嘘・噂を拡散し、逆に人気をとる政治家。

まさに皮肉だらけの内容だらけですが、作品そのものはハーラン・コーベンらしく
面白いエンタメ作品。皮肉はメインではなくて味付け。

タイトルは、登場人物の一人、ワイルドのこと身元不明の男性。
34年前、森で暮らしているところを見つかる。その後、へスターの元で、
へスターの実の子供たちと共に暮らし、軍隊や調査会社など経て
再び森で生活するようになっている。へスターの息子と親友となったワイルドだが
その息子は事故により死亡している。現在は、その一人息子マシュウの
父親・兄・友達という関係。

そのマシュウは、へスターにいじめられっ子の同級生を探してほしいという依頼をする。
へスターはワイルドにも調査協力を依頼し同級生を探し始める。
家出か、誘拐か・・・・。

この作品は、なるほど同級生を探す話ね・・ということにはならない
何が何だかわからない問題が次々と起こる。

そして最後に、この同級生の行方・・と言う事なんだけども
色々な要素があるので、一言では表現できない面白さがある。

ほんとに面白かった。
今はこういう世の中(システム)なんですよねぇ・・という感じですね。

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[日記](読書) 鍵穴(ヨルン・リーエル・ホルスト) [日記]

ノルウェー発、人気ミステリー・警部ヴィスティングシリーズ
第2弾「鍵穴」の感想と記録。先日、順序を間違えて3作目を読んだばかり。

今回も、ラルヴィク警察のヴィスティング、娘のフリージャーナリスト・リーネ、
そして国家犯罪捜査局のスティレルたちが登場。

今回はラルヴィク警察の管轄内で、病死した大物政治家の別荘から大金が見つかる。
大物政治家であることや、地理的、そして何より実績から
検事総長直々にヴィスティングに捜査命令がくだる。

ちなみに「Det Innerste rommet」とは、大金が見つかった別荘の部屋、
「一番奥の部屋」という意味と思われる。

大金の金額、紙幣発行年から、2003年に空港で発生し、その後未解決で終わった
現金強奪事件で盗まれた現金であることがわかる。

ヴィスティングが捜査開始直後、何者かにより別荘が消失。
大物政治家が絡むため、その敵対者か、ノルウェーの犯罪組織か・・・

秘密裡による捜査が求められるため、数人の協力者で操作を進めるヴィスティング。

徐々に過去の現金強奪事件や、同時に発生した若者の失踪事件、
大物政治家との関係が明らかになる。

今回も、特段、トリックや事件性に特筆すべき物はないと思いますが
ヴィスティングたちの誠実な捜査がきらりと光ります。

こういうクライムミステリーやハードボイルド小説は
主人公がダーティハリーなみにハチャメチャだったり、
才能はあるんだけど、団体行動ができないリズベットのようなキャラが多いですけど
至って普通のヴィスティング。

でも、それが良い。今回もきっちり仕事をこなします。


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[日記](読書) サイン・印(アーナルデュル・インドリダソン) [日記]


アイスランド・レイキャビク発、エーレンデュル犯罪捜査官シリーズの最新刊
「サイン・印」の感想と記録。

前回はレイキャビクの移民問題に対する捜査だったかと思う。
エーレンデュルとその同僚たちの群像劇が魅力の本作品ではあるものの、
今回はほぼエーレンデュルのみ。

しかも、具体的な犯罪捜査ではなく、首をつってしまった女性の真相と
30数年前に失踪した若者たちの真相を
自身の過去(幼少のころ遭難し、弟を亡くす)、そのことも要因となった
結婚生活の終焉、元妻、子供たちとの関係性も絡みながら明かしていく。

今回はどこか怪しい感じ。霊媒師やら死後の世界やらがテーマ。
前述の通り、エーレンデュル自身も過去にいわくがあるので
そのあたりが、今回、正式な捜査ではなく単独で調査し始めたきっかけと思われる。
なので、同僚たちはほぼ登場しない。そこがちょっと今回残念。

父親の事故死以来、死後の世界にのめりこむ女性。
数年前、最愛の母が病死し、さらに死後の世界、蘇生についてのめり込み、
精神的にも不安定な状態が続いて、、ついにて湖にある自身のサマーハウスで
首を吊った状態で見つかってしまう。

夫や女性の友達の証言、過去の父親の事故死との因果関係を調べると
どこか違和感を感じるエーレンデュル。

と同時に過去の未解決の失踪事件に関して、関係者(失踪した少年の親)が
病気を患い死が近づいていく。

エーレンデュルはいつものように、淡々とわずかな糸を手繰り寄せるように
徐々に真相を突き止めていく。そこに敏腕だったり、強引だったりすることはない。
ただただ新たな事実から、次の事実に向かっていくような感じ。

今回の小説そのものが面白い、ということよりも
エーレンデュルの子供たちとの「和解」が一番、嬉しかった気がする。

この作品を読むと、いつもレイキャビクに行ってみたいなぁ、と思う。
とんでもなく遠いのですが。

この作品も日本では新刊だけど、2007年に発表されているので
そろそろペースを上げて頂きたいと思いますねぇ、翻訳の。

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[日記](読書) スクリーム(カリン・スローター) [日記]


カリン・スローター、グラント群シリーズの最新作「スクリーム」の感想と記録。

前作はクライムアクション映画?と思うほどのストーリーと展開でしたけど
この最新作は、再び、カリン・スローターらしく、残虐非道の犯罪描写作品ですね。
ほんっとに容赦ないし、気持ち悪いし・・。
主人公の一人であるサラとウィルの激しい恋物語も容赦ないけども・・・。
結婚を申し込むまでに、結果、何人死んでいくんだろうと思いますわ・・。

今回はサラの元夫(故人)・ジェフリーと触るもの皆傷つけるジェフリーの元部下、
レナが担当した過去の事件(誤認逮捕の疑い)に絡んだ連続殺人犯を追う。
700ページ近くある文庫本ですけど、一気読みでしたね。面白い。

面白さは、連続殺人犯は誰ということもそうなんですが
問題児・レナの言動に振り回される過去、現在の人々(ジェフリーやフェイス)。
サラの元夫・ジェフリーがなぜ、誤認逮捕に至ったのか・・などなど
どちらかというと、過去、現在の主要メンバーの関係性に面白さがあります。

レナって新人のころは、サイズの合わない制服を着せられ、ジェフリーに怯える一面も
あって可愛いなぁ、とおもうところもあるんだけど
上司の命令には尽く従わず、自分の都合にあわせるところが彼女らしい。
悪気があって事実を捻じ曲げるし、あからさまに態度にだすし・・。
やっぱり嫌なやつ(苦笑

今回は過去の誤認逮捕の真相を過去の時間軸(ジェフリーが健在)と
現在の時間軸(ウィルたち)で読者が読んでいく構成。

本当に真犯人は別にいて、誤認逮捕だったのか?
真犯人は誰か?

過去の捜査資料や新しく見つかった事実をもとにウィルたちが捜査すると
何人かの候補が挙がってくるけど・・・実は!?という王道ミステリー。

まぁ、でも、やっぱりこのシリーズは、登場人物の魅力です。
カリン・スローターはどんどん作品を出していくので次回作もすぐ読めそう。

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