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[日記](読書) 滅ぼす(ミシェル・ウエルベック) [日記]


フランスの大物作家・ミシェル・ウエルベック、「滅ぼす」の感想と記録。

大物作家らしいのですが、全く存じ上げておらず、たまたま
本屋さんで見かけてなぜか気になり読んでみた今作品。
結果としては「面白かった」・・・・が?。

全くの偏見ですが、いかにもフランス発っぽい作品というか、
フランス映画のようで、結局、「何なん?」っていう感じ。

出だしから面白い。インターネットに出回った「図形と解読できない文字」と
さらに徹底的にリアルに作られた風景映像。非現実的な映像なので「偽物」と
分かるが、作りこみは果てしない「リアル」。

さらに現職の財務大臣が処刑されるリアルなフェイク動画が出回り
フランスの内務省直下の情報機関が調査に乗りだしているところからスタートする。

きっとこのサイバーテロ(リスト)を暴いていくんだろうと思ったところ
財務大臣の側近・ポール(まもなく50歳)の夫婦関係や、
脳梗塞で倒れた父親の看病をめぐり、妹と義弟、年の離れた弟とその妻らの
話がメインになっていく。

サイバーテロはさらに続き、ついに中国企業のタンカーが魚雷により沈没した
動画が公開される。こちらほうは「フェイク」ではなく「リアル」。
(ただし、タンカー乗組員はそもそも脱出しているようで死者数ゼロ)

一方、財務大臣のほうは、間近に迫った次期大統領選に出馬するのか
しないのか、など政局の真っ只中にいて、最終的には出馬せず、
補佐的な立場から、次期大統領選に参加していく。
(事実上のナンバー2という設定なので、選挙自体には大いに参加)

ストーリーは、どこに主眼を置いているのか、さっぱりわからず
サイバーテロの話も、メインのようでメインでない
ポールの父親をめぐり、妹の家庭や、とくに弟の、どうしようもな妻が引き起こす
トラブルも、どこか中途半端で終わる。

上巻がおわるところで「おおおおっ!」って思う展開になって
下巻のあたまも「おおお、いよいよ」という感じになるんだけど・・・(前述の通り)

結局のところ、全体を通して
文化、政治、宗教、その他思想のてんこ盛りのような内容で
最終的にはポール自身の話に収束していって、そこまで展開された事柄のすべて
どこにも着地しない感じ。

救いがない内容なのか、ハッピーエンドなのか。
絶縁状態(というか戦争状態)であった妻とは、ポール自身そして
妻の両親の悲劇で劇的に関係が劇的に修復し、
仲睦まじい夫婦関係に戻ることができた。
よくある話でその直後に、ポールの病が発覚する。

妻との関係が修復され幸せな日々(とその直後の悲劇まで)をおくるポールは、
それまでに弟を亡くし(自殺)、大臣側近の職も休職(弟の妻の行動により)に
追いやられ、などなど散々。

一方、上巻の最後で一気に加速するであろう展開をみせた
テロ事件はどこか尻すぼみでメインストーリーからフェイドアウトしていき
読み終わったあとに「あれれ?」というようになる。

面白かったけど、「何なん?」っていう感じ(前述の通り)
私の読解力が単にない、というだけなのかもしれない。

映画にすると、ポールの姪は、10代に人気のフランス人女優が演じてたり
それ目当てで映画館に行ったりしそう(私が若い頃には)。

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