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[日記](読書) サスペンス作家が人をうまく殺すには(エル・コシマノ) [日記]


エル・コシマノの人気シリーズ、「サスペンス作家が人をうまく殺すには」の感想と記録。

アメリカ・ヴァージニア州に住む
ロマンティック・サスペンス作家のフィンレイ・ドノヴァンは、早朝から
4歳(娘)と2歳(息子)の子育てに奮闘("人を殺したい気分で")している。

というのも、夫とは離婚し、親権は夫とその継母(の予定。現婚約者)に行く予定くらい
あらゆる支払いが滞っている状態。おかげで、ベビーシッターも来ない。

新作も手が付けられず、今後の手持ちのお金もなく・・エージェントとの打合せにも
遅れそうになるなか、警察官の姉や、元夫に泣きついてなんとか
時間とお金(支払い)をやりくり。

軽食屋でエージェントの打ち合わせのなか、次回作の"ネタ"を話していると
帰り際にメモを渡される。

打合せの内容から、隣の席の女性に勘違いされてしまい
「夫を殺してほしい」という依頼を受ける。依頼料は5万ドル。

勿論、至って普通の倫理観のあるフィンレイは、メモを無視しようとするが
あらゆる事情や偶然が重なり、「結果として」、依頼を達成してしまう。

残ったのは「死体」。
ベビーシッター・ヴェロニカの助け(取引)もあり
元夫が造園事業を営んでいる敷地内で埋める。

さらにここから、とんとん拍子で、恋、執筆活動、そして次の「依頼」が舞い込み
フィンレイとヴェロニカは、のっぴきならない状態に追い込まれていくが・・

面白かったです。
ドタバタな感じが凄くよく、登場人物も嫌味も、無理もない感じが読みやすい。

次作がすでに発売されているので、最終的にハッピーエンドであることは
決まっているのですが、最後の終わり方もまたイイ。

何気に子育て描写がイイ味を出していて、ホームドラマの映画を観ているようでした。

次回作もさっそく読んでみようと思う。
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[日記](読書) 悪い男(アーナルデュル・インドリダソン) [日記]



アーナルデュル・インドリダソンの人気シリーズの最新作、
「悪い男」の感想と記録。

一応、エーレンデュル捜査官シリーズではりますが、エーレンデュルは休暇中という事で
同僚の女性捜査官、エリンボルクが今作では主人公になっている。
舞台は勿論、アイスランド、レイキャビク。

1人の男性が自室で、無残にも首を切って殺されていた。
着衣には、レイプドラッグがあり、この男性が使っていたのか、その結果として
被害者の女性から殺されてしまったのか、エリンボルクが真相を追う。

レイプドラッグの売人の線、
直近にレイプされた女性から事情を聞いたり
殺された被害者(レイプという意味では加害者)の故郷を訪問し
自動車修理工を営む知人、その他知人、母親などの聞き取りをしたり
エーレンデュル同様、エリンボルクは地道は聞き取り、捜査を行う。

捜査を進めるなかで
遂に部屋の中に残されたスカーフとそのスカーフについた匂いから
アイスランドでは珍しい調理器具である線を追い、
男性が殺された際にレイプされた女性(被害者)を見つける。

但しレイプドラッグで意識が無かったことや凶器が見つからないこと
父親が救助に行った際には既に、男性は死んでいたと思われることから
エリンボルクは、この被害者女性と父親を捜査線から外す。

また、この父親から娘の救助の際、「石油」の匂いがしたと告げられ
その匂いが、自動車修理で発生するエンジンオイルに起因するものであることを
突き止める。

今回も特に奇抜なトラップだったり、猟奇的なものではなく
地道な捜査の末に辿り着く、そんな内容。

エリンボルクの家庭の話(子育ての悩み)だったり
休暇中で行方不明になっているエーレンデュルだったり、
同僚の暴走だったり、行き過ぎない程度にストーリーに盛り込まれて
飽きずに最後まで読ませてくれる。

まだまだシリーズは続いているようなので、気長に
シリーズが関係するまで読んでいこうと思う。

次回作もエーレンデュルは登場せず、エリンボルクが主人公らしい。


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[日記](読書) 姿なき招待主(グウェン・ブリストウ) [日記]


グウェン・ブリストウ、ブルースマニング夫婦の共作、「姿なき招待主」の感想と記録。

1930年に米国で刊行されたという本作品。

米国では、違うタイトルで舞台化されて、その数年後には同じような設定で
映画かや他小説に多くのインスピレーションを与えたという、、。
その際たるものが、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」らしい。
アガサ・クリスティーをキチンと読んだことがないので分からないのですが
事件の場所が違うだけで、ほぼ同じ設定らしく、
あからさまに、本作品を読んだ、或いは舞台、映画を観た、としか考えられないよう。

ニューオーリンズのペントハウスでサプライズパーティをするという
招待主の名前のない、招待状が、8人の男女に届く。
1人ずつ、受け取った時に、招待主を想像しながら、そのパーティに参加すると
だれも招待主ではないという。

1.社交界で有名人の女性
2.大学の学部長の男性
3.銀行家の男性
4.劇作家の男性
5.弁護士の女性
6.政治家の男性
7.手芸家の男性
8.映画俳優の女性

それぞれが、それぞれと反目あるいは親しい関係。

学部長を推薦したのは銀行家
銀行家のライバルである政治家
政治家のお抱え弁護士
学部長から大学職を追われた手芸家
手芸家と親しい女優

パーティに参加したところで、備え付けの大型ラジオから
1名ずつ、朝まで死んで(殺して)いくという謎の招待主の声。

パティオからの脱出は様々な装置で不可能となっており
8名は、誰が犯人(招待主)なのか、どうやって脱出するかを議論するが
招待主(声)の言う通り、1名1名、死んでいく・・・。

まさに舞台を観ているような作品で、どんどん話が進んでいく。
一気読み。

面白いけども、1930年の作品なので古臭いのは否めない
でも、なるほど、本来ならば、もっと脚光を浴びても良かったかもしれない。

※この作家(夫婦)は、小説家以外で著名な方らしい


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[日記](読書) ザ・ロング・サイド(ロバート・ベイリー) [日記]


ロバート・ベイリーの人気シリーズの最新刊、「ザ・ロング・サイド」の感想と記録。

片仮名で、「ロング」とあるので日本人的には「Long(長い)」を想像も、
読んでいて「Wrong」の、文字通りの認識違いであることが分かります、、。

このあたり、日本とタイトルはどうなんでしょうね、、

「間違った側」という意味でタイトルを付けないと意味が分からないし
「長いサイド」とあえて日本人に知らしめる必要もないと思うのですが。

ということで、"タイトル"どおり、今回も一見不利に思える容疑者を
敏腕弁護士・ボーが無実判決を勝ち取るか・・・?のストーリー。

舞台はお馴染みアメリカ南部、テネシー州プラスキ―
そしてベースには、アメリカンフットボール
アフリカ系アメリカ人への差別など。

今回の容疑者は、プラスキ―で、有望なアメフト選手(高校生)。
恋人は、まさにメジャーデビューを勝ち取ろうとする
バンドのボーカリスト。

恋人が出場する試合後には、バンドコンサートがあり
その深夜に殺されてしまう。
そして、その現場には、試合で大活躍した恋人が放心状態で発見され
恋人の殺害容疑で逮捕される。

じつはこのアメフト選手であり高校生は、ボーが営む農園で働いており
親しくしていた関係もあり、ボーに弁護を依頼するが

殺害されたとする女性は、地元で人気者であり
あらゆる証拠から、もはや犯人は決定的という状況のなかで
ボーは弁護を躊躇する・・けど、当たり前として弁護します(王道ですね)

その後も、基本的にこのシリーズの王道展開だと思います。
完結編なので、大大どんでん返し、大盛り上がり、まさかの・・と思いきや
やっぱり、最初の頃の方がドキドキ感あるし、ヒネリもあまりない気がします。
途中、一所懸命、真実はあっちか、こっちか、思わせぶりに”匂わせ”ますけど
それももはやシリーズを読んでいると、あまり引っかからないというか、、

まぁ、作者自身、やはりこのシリーズは、"トム"の物語ですし
彼が作品からいなくなってしまったので、
それよりも、人種や地域の軋轢だったりが(ストーリーや意図の)
中心なのかな、と思います。

ロバート・ベイリー作品としては、まだまだあるようで
今後も、どんどん、発売して欲しいと思います。

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[日記](読書) 7月のダークライド(ルー・バーニー) [日記]


過去読んだ2作品が大変面白かった記憶がある、ルー・バーニーの新作
「7月のダークライド」の感想と記録。

過去の2作品もノワール作品というのか、とにかく「破滅」に向かっていく物語で
「11月に去りし者」は、逃げるヤクザと若い母娘の逃避行が面白く
「ガットショットストレート」も服役した主人公と性悪のボス(女性)の関係が
面白かったけど

今回は大学を中退した"自称"アミューズメントパークでアルバイトしている
ハードリー("頑張ることがめったにない"という意味らしい)が
違反切符の手続きで訪れた市庁舎で児童虐待が疑われる子供たちにを見かけたことで
"頑張る"お話し。

幼少のころ母に励まされてきた一方(のちに死別)で
祖父から言われた「期待しなければ、万事OK」みたいな人生を送っており
なぜかこの子供たちを救いたいと思い立つ。

ルー・バーニーらしく、登場人物は魅力的で、突飛な才能はないけれども
それなりに一生懸命生きている人々。だらしないところも多いけど
日常生活ってそんなものよね、という感じ。

ハードリーもどうしようもないフリーターではあるが
愚かな人間ではなく、なんとか、できる範囲で子供たちを救うべく
周囲の協力も得ながら奮闘するが。

結末もルー・バーニーらしい。
ハードリーが手に入れることが出来た最高の幸福は
ハッピーエンドではなかったかもしれない。
子供たちの未来が、このあとどうなったかもわからないけども
ハードリー(とサルヴァトーレ)にとっては
最高の幸福だったんだろうな、と。

ルー・バーニー作品に外れなし。


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[日記](読書) 最後の龍殺し(ジャスパー・フォード) [日記]


ジャスパー・フォードのドラゴンスレイヤーシリーズの第1作目、
「最後の龍殺し」の感想と記録。

ドラゴン・スレイヤーシリーズで、すでに"ラスト"というところも、イイ感じ。
第2作目から読んでしまっているので、代替の登場人物の「それとなり」も理解していたし
友達でもある魔獣クォークビースト(初代)が2作目では死んでしまっていたので
その親しさも第1作では盛り沢山だったので、楽しく読めた。

前作同様、現実的な社会に、魔法という化石燃料的な、或いは電力的なパワーがあり
過去の魔法事故から、使用が厳罰化、そして魔法は廃れていき、
舞台となる王国でも、魔法使いは細々と、魔法使いのマネジメント会社で
家の修理やら、紛失物の調査やらの仕事に従事している。

主人公のジェニファー・ストレンジは、出生(孤児)であることから
奉仕義務が解ける18歳まで、このマネジメント会社で勤めることになったが
ジェニファー自身は魔法の才能がない(というほとんどの人はない)ので
マネジメント(電話対応、魔法使いの管理などの雑用)をこなす日々だったが
社長が失踪してしまったために、幼少から勤めている実績のため
社長代理となっている。

そんなとき、お抱えの魔法使いたちの「魔法能力」があがり
(このあたりは電力量や石油みたいな感じ)
さらに王国にいる何名かの予言能力者(魔法使い)が
最後のドラゴンが近々死ぬらしいと予言する。

ドラゴンは聖域(ドラゴンランド)に住み、バリア(結界)によって守られ
人間が入ると魔法により蒸発する。
死ぬとその土地の魔法は解け、「奪ったもの」の土地となることから
ジェニファーが住む王国、その隣国、人々が我先に、とその土地に群がる

ジェニファーは現ドラゴンスレイヤーより補助として任命されたため
ドラゴンスレイヤー(老人)と一緒にドラゴンランドに入るが
そこで現職から真実(ジェニファーが最後のドラゴンスレイヤー)を告げられ
ドラゴンランドを奪おうとする人々の騒動に巻き込まれていく。

このシリーズが面白いと感じたのは
「魔法」がひとつの「資源」として語られていて、その資源には限界があるということ
この作品では10ギガ程度とされていて、
魔法使いが自由にそのパワーを使うというよりも「蓄えたもの」を使うという者。
出力が大きい人は魔法能力が高いみたいな。
魔法自体はそんなに都合の良いものでもなく、自由自在には使えないので
使う場合は、使うための環境を整えるみたいな(電気みたいな感じ)

なので、ぶっちゃけ、電気やガソリン、つまり現実社会と同様に
科学のほうが扱いやすいという側面が大いにあって、廃れている状態。

ファンタジー小説では、「ハリーポッター」や「指輪物語」が有名だけど
個人的には、この作品の方がバランスが良いというか
普通に小説として面白いと感じております。

新作がでれば、是非読み続けたいし
登場人物(ジェニファーやクォークビーストたち)を応援したいですねぇ。

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[日記](読書) クォークビーストの歌(ジャスパー・フォード) [日記]


ジャスパー・フォードの「クォークビーストの歌」の感想と記録。

この第1作目の「最後の龍殺し」を読むつもりが
手違い(というか勘違い)で第2作目から読んだというか、
読んでみて「最後の龍殺し」の続編であることを知った。

表紙も、タイトルも、いかにも「ライトノベル感」があるので
普段は読まないジャンルでもあるが、読んでみると、なかなか面白い。

ただ設定が10代の主人公で、その仲間も10代というか・・で
そんなわけあるかいな、という、ジョブナイル的作品。

世界観は、破綻しそうな設定で
電気もあるし、(廃れた)魔法もあるしという、車もあるし、
なにがなんだか・・。

主人公は16歳で、王国に2つある魔法使いマネジメント会社の社長代理の
女の子。社長はわけあって不在。
続編なので恐らくこのあたりの詳しい事情は第1作目に語られている模様。
読んでいてわかり辛いな・・と思っていたのは、これが第2作目だから。

魔法使いをマネジメントしているこの会社で
社長代理の女の子は、探し物(指輪)を探したり、
サージと呼ばれる魔法現象を解決したり、忙しい。

ところが、ひょんなことから?
ライバル会社と会社を存亡をかけた橋修復勝負に挑むことになり・・という内容。

クォークビーストというのは、量子力学?の物質・反物質みたいな設定で
魔法で生み出された魔獣のことらしい。
この辺りも第1作目から続いている設定らしい・・・・。

なにがなんだかな設定の中で、みごと橋修復勝負に勝利して
めでたしめでたし、な感じもいかにもライトノベルな感じだけども

意外に嫌な感じはせず、読み進めることが出来た。
きっと、日本のライトノベルやSF作品では必ずある「萌え」「エロ」が
無かったからだと思う。

ということで、第1作目を読んでみようと思っております。

悪くないシリーズ。
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[日記](読書) 座席ナンバー7Aの恐怖(セバスチャン・フィツェック) [日記]


海外ミステリ。セバスチャン・フィツェックの「座席ナンバー7Aの恐怖」の感想と記録。

「乗客ナンバー23の消失」が人気作なので、この作品のタイトルもそれっぽい。
ドイツ語(本国)のタイトルは、もっとストレートっぽい。(座席番号7A、みたいな)。

"座席ナンバー"がタイトルにある通り、乗り物、今回は
ブエノスアイレス発、ベルリン着の直通フライト(機内)が舞台となっておりますが

わざわざ"恐怖"とタイトルつけられているので、その"7A"にまつわる・・という感じ
なんですけど、私が想像していた内容とは少し違いました。

最初のシーンは、重傷を負い命が危うい(というか死亡宣告を受けている)患者が
目覚め、会話はできないまでも、コミュニケーションは何とか取れそう、みたいな
状況から始まり、そこから、若い妊婦が誘拐されるシーンに入り、物語が進んでいく。

ブエノスアイレスからベルリンに移動しているのは
この妊婦の父親であり精神科医の男性。
機内で自身が予約していたビジネスクラスの座席"7A"をトラブっていた女性に譲る。

自身は他の座席も"ゲン担ぎ"で予約していたので、そちらに移動したところで
機内通話を通じて、自身の娘が誘拐されたことをしり
犯人の目的は、精神科医のかつての患者でありチーフパーサーを操って
そのフライトを墜落させることで。。

座席ナンバー7Aの恐怖ということで、"7A"に座っている人が
その動けない状況で、爆弾やら、ハイジャック犯やらと戦うのかと思いきや
"7A"というのはあまり事件そのものとは関係なく(少しはある)、
今回は、若い女性(母親とその幼児)が恐怖体験するのか!とも少し違う感じ。

地上では誘拐された娘を探す精神科医のかつての恋人と
機内はかつての患者(チーフパーサー)に精神科医が
トラウマを植え付けるみたいな、展開が続く。

凄く面白いことでもないけども、ページ数も適度で読み易かった。

最初と最後のつながりも、分かり易いし
トリックや謎解きもあまり考えなくても良いし
いい意味でも単純で、適度にハラハラ、ドキドキ。



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[日記](読書) エレファントヘッド(白井智之) [日記]


今年に入って日本の作家さんを読むケースが増えている気がする、、
北欧ミステリも、米国ミステリもなかなか新たな発売(日本で)がないので
読む作品が減ってしまったという事かもしれない、、(残念)

という事で、ネットで評価が高い白井氏の「エレファントヘッド」。
内容も作風も知らずに読んだところ、「エロ」で「グロ」の作品が多いとの事。

本作品も冒頭からその気配がして、読み進めるのが辛かった・・が
何とか本筋に入るまで耐えて読了。
作家さんも、作品の内容も知らずに読んだ割に
基本的には好きなジャンルのタイムリープもの。

精神科でバイトをする青年は精神科医・象山(きさやま)に、通院する高校生を
交際・誘拐している疑いをもち、問い詰めようとするが
その女子高生は、その際、奇妙な「爆発」をして死んでしまう(グロい)。
※実際は、交際・誘拐ではなく「親子」の会話だった

話は象山の過去から現在の話が中心に、そして一家の「朝」が中心になっていく。
象山の両親の父はブームを作った奇術師であり、ブームが去り精神を患い
象山は父から引き離され育つ。母はその過程で、象山自身が殺害している。

象山も勿論、精神を患い、一見、理想的な家族(長女はアイドル、次女は高校生、
妻は女優)に囲まれているが、その実、ドラッグにも手を出しているし
次女に恋をし、そしてそれを紛らわすために、同僚を脅し、「セフレ」を作っている。
自身の理想的な家族を維持するためには手段を選ばない。

そんな無茶苦茶な生活を送っていた象山にほころびが生じ、理想家族を失う。
ドラッグディーラーから買った怪しげのドラッグの2つのうち1つを使用。意識を失う。

そこから、象山は分裂を始める(計5人の象山が登場)。
この場合の分裂は、大脳が生み出す意識のなかで「5人の人格」とのことで

精神が分裂すると、その作用で、片方は5時間の時間的遡行が生じる。
なので、5時間前にとんだ象山は、自身の言動により生じた生活のほころびを防ぎ
理想的な家族を演じることができた。

一方、時間遡行が生じなかった方の精神(人格)である象山の方は
引き続き、最悪な人生(生活)を送ることになり、再び、ドラッグを使用して
精神を分裂させ、時間遡行できた精神(人格)を生み出す。
※片方が、その時点から5時間の時間遡行、一方は引き続き、元の時間の人格

この時点で、象山は、3人生まれたが、一番まともな人格が自殺を図り
その自殺を図るために生まれた時間遡行人格が、もう一人生まれる(計4人)

この時点でシンプルに考えると2つあったドラッグは無くなり
人格は4人となり、時間も4つあることになり
それぞれが、それぞれの時間で生活を送ることになる
勿論、それぞれには、それぞれの状況がある

最悪なことになっている象山(家族崩壊、自身も警察に追われる=逃亡者)
全ての落とし穴を回避した象山(家族円満=幸福者)
最悪をギリギリで回避した象山(家庭崩壊を阻止した=修復者)
自殺を試みて入院中の象山

そもそも「理想の家族」を守るために発生した人格なのだが
全ての時間で
次女が爆発、次いで妻も内蔵を吐き出し、長女も運転中に事故死する。

この時間遡行の副作用として、どこかで対象人物が死んだ場合
その影響として、全ての時間軸の人物が死んでしまう。

なので、象山の「誰か」が、愛する家族を殺したことになり
各象山は、どの象山が家族を殺したのか、物証から推理を働かせる・・という
そして5人目の象山はどうやって生まれたの・・・?という謎で
なんともわけのわからないタイムリープもの。

なんかもう、どこかにほころびがありそうな設定なのだが、読ませてしまうところが
面白かった。

サマータイムレンダのようで、バックトゥザフューチャーのようで・・

気になる作家ではあるものの、レビューでは
「思ったほどエロ・グロじゃない」という意見が多数あるので
他作品に挑戦するのは、ちょっと勇気がいるかも。

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[日記](読書) 1 (ONE) (加納朋子) [日記]


加納朋子さんの最新作、「1(ONE)」の感想と記録。

この最新作が読みたくて、先日「ななつのこ」を読んだのだが、最新作であり
デビュー作、「ななつのこ」の続編も面白く読みました。

と言っても、読み始めてから、なかなかページが進まなかったのも事実で
違う作品を読むかたらわで、読み進みていた。

「ななつのこ」は、大学生の女性が
周辺で起こった、小さいな事件を作家へのファンレターをとおして
ヤリトリしていく物語で、最終的にはとある男性と会い
いい意味で煮え切らない感じで終わる、後読感のよい作品だった。

今回の作品では、大学生の女性と自身の飼い犬「ゼロ」との交流から
スタートする。ちょっと最初は、犬同士の会話だったりが先行し
ファンタジー色が強く、苦手な部類だった(ので、なかなか進まなかった)

新入りの家族、「ゼロ」は、先輩犬「ワン」から、自身の飼い主でもあり
家族の一番の下っ端であるレイちゃん(大学生の女性)を守るように
指導を受けている。ちょっと怖い、先輩犬だが、かっこいい先輩として
ゼロは慕っている様子。

ファンタジー色の強い内容(犬同士の会話)に我慢して読み進めると
なるほど、ゼロの正体がわかる。

ゼロの正体が分かったところで、この先輩犬と家族の歴史に移っていく
最初は、レイちゃんのお兄ちゃんの話
そして、レイちゃんの母親をメインに語られていくところで
なるほど、予想していた通り、「ななつのこ」の続編と思しき内容も語られる。


この作品の作者のあとがきにあるとおり、
「ななつのこ」から、時代が変わり、ペットとの関わり合い方も変わったし
人間の暮らしも変わったなぁ、と何とも言えない感じになる。

この作品自体は、とくに万人受けするようなものではない(と思う)けど
加納朋子さんらしい、やさしいミステリー作品で、
読書っていいなぁ、としみじみする。

加納朋子作品は、極悪非道のミステリー作品を読むことが多い私にとっては
スイカジュース(本作品で登場する)のような清涼飲料水ですかねぇ。




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