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[日記](読書) エレファントヘッド(白井智之) [日記]


今年に入って日本の作家さんを読むケースが増えている気がする、、
北欧ミステリも、米国ミステリもなかなか新たな発売(日本で)がないので
読む作品が減ってしまったという事かもしれない、、(残念)

という事で、ネットで評価が高い白井氏の「エレファントヘッド」。
内容も作風も知らずに読んだところ、「エロ」で「グロ」の作品が多いとの事。

本作品も冒頭からその気配がして、読み進めるのが辛かった・・が
何とか本筋に入るまで耐えて読了。
作家さんも、作品の内容も知らずに読んだ割に
基本的には好きなジャンルのタイムリープもの。

精神科でバイトをする青年は精神科医・象山(きさやま)に、通院する高校生を
交際・誘拐している疑いをもち、問い詰めようとするが
その女子高生は、その際、奇妙な「爆発」をして死んでしまう(グロい)。
※実際は、交際・誘拐ではなく「親子」の会話だった

話は象山の過去から現在の話が中心に、そして一家の「朝」が中心になっていく。
象山の両親の父はブームを作った奇術師であり、ブームが去り精神を患い
象山は父から引き離され育つ。母はその過程で、象山自身が殺害している。

象山も勿論、精神を患い、一見、理想的な家族(長女はアイドル、次女は高校生、
妻は女優)に囲まれているが、その実、ドラッグにも手を出しているし
次女に恋をし、そしてそれを紛らわすために、同僚を脅し、「セフレ」を作っている。
自身の理想的な家族を維持するためには手段を選ばない。

そんな無茶苦茶な生活を送っていた象山にほころびが生じ、理想家族を失う。
ドラッグディーラーから買った怪しげのドラッグの2つのうち1つを使用。意識を失う。

そこから、象山は分裂を始める(計5人の象山が登場)。
この場合の分裂は、大脳が生み出す意識のなかで「5人の人格」とのことで

精神が分裂すると、その作用で、片方は5時間の時間的遡行が生じる。
なので、5時間前にとんだ象山は、自身の言動により生じた生活のほころびを防ぎ
理想的な家族を演じることができた。

一方、時間遡行が生じなかった方の精神(人格)である象山の方は
引き続き、最悪な人生(生活)を送ることになり、再び、ドラッグを使用して
精神を分裂させ、時間遡行できた精神(人格)を生み出す。
※片方が、その時点から5時間の時間遡行、一方は引き続き、元の時間の人格

この時点で、象山は、3人生まれたが、一番まともな人格が自殺を図り
その自殺を図るために生まれた時間遡行人格が、もう一人生まれる(計4人)

この時点でシンプルに考えると2つあったドラッグは無くなり
人格は4人となり、時間も4つあることになり
それぞれが、それぞれの時間で生活を送ることになる
勿論、それぞれには、それぞれの状況がある

最悪なことになっている象山(家族崩壊、自身も警察に追われる=逃亡者)
全ての落とし穴を回避した象山(家族円満=幸福者)
最悪をギリギリで回避した象山(家庭崩壊を阻止した=修復者)
自殺を試みて入院中の象山

そもそも「理想の家族」を守るために発生した人格なのだが
全ての時間で
次女が爆発、次いで妻も内蔵を吐き出し、長女も運転中に事故死する。

この時間遡行の副作用として、どこかで対象人物が死んだ場合
その影響として、全ての時間軸の人物が死んでしまう。

なので、象山の「誰か」が、愛する家族を殺したことになり
各象山は、どの象山が家族を殺したのか、物証から推理を働かせる・・という
そして5人目の象山はどうやって生まれたの・・・?という謎で
なんともわけのわからないタイムリープもの。

なんかもう、どこかにほころびがありそうな設定なのだが、読ませてしまうところが
面白かった。

サマータイムレンダのようで、バックトゥザフューチャーのようで・・

気になる作家ではあるものの、レビューでは
「思ったほどエロ・グロじゃない」という意見が多数あるので
他作品に挑戦するのは、ちょっと勇気がいるかも。

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