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[日記](読書) クォークビーストの歌(ジャスパー・フォード) [日記]


ジャスパー・フォードの「クォークビーストの歌」の感想と記録。

この第1作目の「最後の龍殺し」を読むつもりが
手違い(というか勘違い)で第2作目から読んだというか、
読んでみて「最後の龍殺し」の続編であることを知った。

表紙も、タイトルも、いかにも「ライトノベル感」があるので
普段は読まないジャンルでもあるが、読んでみると、なかなか面白い。

ただ設定が10代の主人公で、その仲間も10代というか・・で
そんなわけあるかいな、という、ジョブナイル的作品。

世界観は、破綻しそうな設定で
電気もあるし、(廃れた)魔法もあるしという、車もあるし、
なにがなんだか・・。

主人公は16歳で、王国に2つある魔法使いマネジメント会社の社長代理の
女の子。社長はわけあって不在。
続編なので恐らくこのあたりの詳しい事情は第1作目に語られている模様。
読んでいてわかり辛いな・・と思っていたのは、これが第2作目だから。

魔法使いをマネジメントしているこの会社で
社長代理の女の子は、探し物(指輪)を探したり、
サージと呼ばれる魔法現象を解決したり、忙しい。

ところが、ひょんなことから?
ライバル会社と会社を存亡をかけた橋修復勝負に挑むことになり・・という内容。

クォークビーストというのは、量子力学?の物質・反物質みたいな設定で
魔法で生み出された魔獣のことらしい。
この辺りも第1作目から続いている設定らしい・・・・。

なにがなんだかな設定の中で、みごと橋修復勝負に勝利して
めでたしめでたし、な感じもいかにもライトノベルな感じだけども

意外に嫌な感じはせず、読み進めることが出来た。
きっと、日本のライトノベルやSF作品では必ずある「萌え」「エロ」が
無かったからだと思う。

ということで、第1作目を読んでみようと思っております。

悪くないシリーズ。
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[日記](読書) 座席ナンバー7Aの恐怖(セバスチャン・フィツェック) [日記]


海外ミステリ。セバスチャン・フィツェックの「座席ナンバー7Aの恐怖」の感想と記録。

「乗客ナンバー23の消失」が人気作なので、この作品のタイトルもそれっぽい。
ドイツ語(本国)のタイトルは、もっとストレートっぽい。(座席番号7A、みたいな)。

"座席ナンバー"がタイトルにある通り、乗り物、今回は
ブエノスアイレス発、ベルリン着の直通フライト(機内)が舞台となっておりますが

わざわざ"恐怖"とタイトルつけられているので、その"7A"にまつわる・・という感じ
なんですけど、私が想像していた内容とは少し違いました。

最初のシーンは、重傷を負い命が危うい(というか死亡宣告を受けている)患者が
目覚め、会話はできないまでも、コミュニケーションは何とか取れそう、みたいな
状況から始まり、そこから、若い妊婦が誘拐されるシーンに入り、物語が進んでいく。

ブエノスアイレスからベルリンに移動しているのは
この妊婦の父親であり精神科医の男性。
機内で自身が予約していたビジネスクラスの座席"7A"をトラブっていた女性に譲る。

自身は他の座席も"ゲン担ぎ"で予約していたので、そちらに移動したところで
機内通話を通じて、自身の娘が誘拐されたことをしり
犯人の目的は、精神科医のかつての患者でありチーフパーサーを操って
そのフライトを墜落させることで。。

座席ナンバー7Aの恐怖ということで、"7A"に座っている人が
その動けない状況で、爆弾やら、ハイジャック犯やらと戦うのかと思いきや
"7A"というのはあまり事件そのものとは関係なく(少しはある)、
今回は、若い女性(母親とその幼児)が恐怖体験するのか!とも少し違う感じ。

地上では誘拐された娘を探す精神科医のかつての恋人と
機内はかつての患者(チーフパーサー)に精神科医が
トラウマを植え付けるみたいな、展開が続く。

凄く面白いことでもないけども、ページ数も適度で読み易かった。

最初と最後のつながりも、分かり易いし
トリックや謎解きもあまり考えなくても良いし
いい意味でも単純で、適度にハラハラ、ドキドキ。



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[日記](読書) エレファントヘッド(白井智之) [日記]


今年に入って日本の作家さんを読むケースが増えている気がする、、
北欧ミステリも、米国ミステリもなかなか新たな発売(日本で)がないので
読む作品が減ってしまったという事かもしれない、、(残念)

という事で、ネットで評価が高い白井氏の「エレファントヘッド」。
内容も作風も知らずに読んだところ、「エロ」で「グロ」の作品が多いとの事。

本作品も冒頭からその気配がして、読み進めるのが辛かった・・が
何とか本筋に入るまで耐えて読了。
作家さんも、作品の内容も知らずに読んだ割に
基本的には好きなジャンルのタイムリープもの。

精神科でバイトをする青年は精神科医・象山(きさやま)に、通院する高校生を
交際・誘拐している疑いをもち、問い詰めようとするが
その女子高生は、その際、奇妙な「爆発」をして死んでしまう(グロい)。
※実際は、交際・誘拐ではなく「親子」の会話だった

話は象山の過去から現在の話が中心に、そして一家の「朝」が中心になっていく。
象山の両親の父はブームを作った奇術師であり、ブームが去り精神を患い
象山は父から引き離され育つ。母はその過程で、象山自身が殺害している。

象山も勿論、精神を患い、一見、理想的な家族(長女はアイドル、次女は高校生、
妻は女優)に囲まれているが、その実、ドラッグにも手を出しているし
次女に恋をし、そしてそれを紛らわすために、同僚を脅し、「セフレ」を作っている。
自身の理想的な家族を維持するためには手段を選ばない。

そんな無茶苦茶な生活を送っていた象山にほころびが生じ、理想家族を失う。
ドラッグディーラーから買った怪しげのドラッグの2つのうち1つを使用。意識を失う。

そこから、象山は分裂を始める(計5人の象山が登場)。
この場合の分裂は、大脳が生み出す意識のなかで「5人の人格」とのことで

精神が分裂すると、その作用で、片方は5時間の時間的遡行が生じる。
なので、5時間前にとんだ象山は、自身の言動により生じた生活のほころびを防ぎ
理想的な家族を演じることができた。

一方、時間遡行が生じなかった方の精神(人格)である象山の方は
引き続き、最悪な人生(生活)を送ることになり、再び、ドラッグを使用して
精神を分裂させ、時間遡行できた精神(人格)を生み出す。
※片方が、その時点から5時間の時間遡行、一方は引き続き、元の時間の人格

この時点で、象山は、3人生まれたが、一番まともな人格が自殺を図り
その自殺を図るために生まれた時間遡行人格が、もう一人生まれる(計4人)

この時点でシンプルに考えると2つあったドラッグは無くなり
人格は4人となり、時間も4つあることになり
それぞれが、それぞれの時間で生活を送ることになる
勿論、それぞれには、それぞれの状況がある

最悪なことになっている象山(家族崩壊、自身も警察に追われる=逃亡者)
全ての落とし穴を回避した象山(家族円満=幸福者)
最悪をギリギリで回避した象山(家庭崩壊を阻止した=修復者)
自殺を試みて入院中の象山

そもそも「理想の家族」を守るために発生した人格なのだが
全ての時間で
次女が爆発、次いで妻も内蔵を吐き出し、長女も運転中に事故死する。

この時間遡行の副作用として、どこかで対象人物が死んだ場合
その影響として、全ての時間軸の人物が死んでしまう。

なので、象山の「誰か」が、愛する家族を殺したことになり
各象山は、どの象山が家族を殺したのか、物証から推理を働かせる・・という
そして5人目の象山はどうやって生まれたの・・・?という謎で
なんともわけのわからないタイムリープもの。

なんかもう、どこかにほころびがありそうな設定なのだが、読ませてしまうところが
面白かった。

サマータイムレンダのようで、バックトゥザフューチャーのようで・・

気になる作家ではあるものの、レビューでは
「思ったほどエロ・グロじゃない」という意見が多数あるので
他作品に挑戦するのは、ちょっと勇気がいるかも。

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[日記](読書) 1 (ONE) (加納朋子) [日記]


加納朋子さんの最新作、「1(ONE)」の感想と記録。

この最新作が読みたくて、先日「ななつのこ」を読んだのだが、最新作であり
デビュー作、「ななつのこ」の続編も面白く読みました。

と言っても、読み始めてから、なかなかページが進まなかったのも事実で
違う作品を読むかたらわで、読み進みていた。

「ななつのこ」は、大学生の女性が
周辺で起こった、小さいな事件を作家へのファンレターをとおして
ヤリトリしていく物語で、最終的にはとある男性と会い
いい意味で煮え切らない感じで終わる、後読感のよい作品だった。

今回の作品では、大学生の女性と自身の飼い犬「ゼロ」との交流から
スタートする。ちょっと最初は、犬同士の会話だったりが先行し
ファンタジー色が強く、苦手な部類だった(ので、なかなか進まなかった)

新入りの家族、「ゼロ」は、先輩犬「ワン」から、自身の飼い主でもあり
家族の一番の下っ端であるレイちゃん(大学生の女性)を守るように
指導を受けている。ちょっと怖い、先輩犬だが、かっこいい先輩として
ゼロは慕っている様子。

ファンタジー色の強い内容(犬同士の会話)に我慢して読み進めると
なるほど、ゼロの正体がわかる。

ゼロの正体が分かったところで、この先輩犬と家族の歴史に移っていく
最初は、レイちゃんのお兄ちゃんの話
そして、レイちゃんの母親をメインに語られていくところで
なるほど、予想していた通り、「ななつのこ」の続編と思しき内容も語られる。


この作品の作者のあとがきにあるとおり、
「ななつのこ」から、時代が変わり、ペットとの関わり合い方も変わったし
人間の暮らしも変わったなぁ、と何とも言えない感じになる。

この作品自体は、とくに万人受けするようなものではない(と思う)けど
加納朋子さんらしい、やさしいミステリー作品で、
読書っていいなぁ、としみじみする。

加納朋子作品は、極悪非道のミステリー作品を読むことが多い私にとっては
スイカジュース(本作品で登場する)のような清涼飲料水ですかねぇ。




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[日記](読書) をんごく(北沢陶) [日記]


大阪府出身で、英大学で英文学修士課程を習得もしているという
日本人作家、北沢陶のデビュー作(2023年)、「をんごく」の感想と記録。

日本のミステリー・ホラー大賞の、大賞をはじめ3冠をとったということで
出版業界の期待作なのか、表紙もなかなかイイ。

ホラー作品ということで、いかにも日本の「リング」「死国」っぽい感じで
古き良きなのか、いまも和製ホラー作品、こういう感じなのか、という内容。

東京大震災、前後の大正12年。
神道とも仏教ともわからぬ怪しげな儀式からストーリーはスタートし、
どうやら1年前に妻を亡くした男性が、巫女の儀式により、
妻と交霊仕様としていると思しき会話の場面。
ただ会話の内容は、時代や方言で何を言っているのかという感じで、
会話自体がミステリアス。

その後、儀式を取り計らっているのが、大阪であることが分かり
キツイ方言は、当時の大阪弁であることもわかる。

妻と交霊したかったが、巫女も不思議に思うほどうまくいかず
後味が悪い状態で儀式が終了する。

その後、男性の家で、大事な妻の遺品(かんざし)や白粉の匂い
亡くなった友人が目撃されたという情報など奇妙なことが起こる。

儀式を取り計らった巫女からは、
亡くなったとされる「妻」の葬式(の内容)を疑われ、
さらに、「魂(霊)を食らう」というエリマキという
存在自体が謎の男性と出会う。

儀式後、和製ホラーっぽく(というか、雰囲気は「死国」そのもの)、
静かな、そして、不気味にストーリーが進み
主人公の男性が徐々に霊におかされていく感じは面白かったが、

これまたよくあるように後半にはいると
雰囲気(奇術で霊を退散させる)が変わり、ちょっと残念。

もっと不気味な状況や、妻との愛情だったり、妻の憎しみだったり
キーとなる家系の呪われた儀式、を深掘りしてほしかった。
結局のところ、妻と男性の恋愛ものだと思うし。

ふと、チャイニーズ・ゴーストストーリーを思い出しましたり。
ジョイ・ウォンにアジアの男性はハマったかと。。(私も)

何はともあれ、次回作に期待。





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[日記](読書) ななつのこ(加納朋子) [日記]


加納朋子さんの「ななつのこ」の感想と記録。

加納朋子さんの作品は、若い頃「いちばん初めにあった海」を読みハマってしまい
次々に読んだ記憶がある。

ミステリー作品ではあるものの、凶悪な事件や不幸を扱っているわけでもなく
敏腕刑事や、特殊能力、チームが出てくるわけでもなく
ありふれた日常の、ありふれた謎だったり、そして誰にでも起こる不幸だったり
最終的には主人公や登場人物たちは、良い方向に向かっていく。
ハッピーエンドというよりも、"良い方向の結末"、という感じだと思う。

「ななつのこ」を読んだのも凄く昔だったので、そもそも覚えていなかったのだが
今年、なんと、20年数年くらいぶり?の「続編」が出たということで
思い出すために、何度目かであろう「ななつのこ」を読んだみた。

案の定、全く覚えていなかったのだが
昭和、平成の時代の大学生・駒ちゃん(女性)が、小説「ななつのこ」の作者に
ファンレターとして日常の「謎」を送ったところ
その作家さんから「謎」を解明する答えが、返信として送られてきて
駒ちゃんと作家さんの交流が始まる、というストーリーであった。


加納朋子さんらしく、ちょっと笑える謎だったり、ちょっと切ない謎だったり
ラブストーリーに発展しそうで、どこか間の抜けている駒ちゃんだったり
解説に書かれている通り「すがすがしい」作品で、後読感が非常に良い。

万人受けするか、と言われると、インパクトに欠ける内容かもしれないけど
好きな人にはタマラナイそういう作品だし、作家さん。

だからこそ、20年ぶり?に続編が出るんだと思う。

続編はどんな感じなんだろうか。
駒ちゃんが再び登場か、スマホやネットの無い時代から
現代の社会情勢を反映した内容になっているのか、読むのが大変楽しみ。







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