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[日記](読書) をんごく(北沢陶) [日記]


大阪府出身で、英大学で英文学修士課程を習得もしているという
日本人作家、北沢陶のデビュー作(2023年)、「をんごく」の感想と記録。

日本のミステリー・ホラー大賞の、大賞をはじめ3冠をとったということで
出版業界の期待作なのか、表紙もなかなかイイ。

ホラー作品ということで、いかにも日本の「リング」「死国」っぽい感じで
古き良きなのか、いまも和製ホラー作品、こういう感じなのか、という内容。

東京大震災、前後の大正12年。
神道とも仏教ともわからぬ怪しげな儀式からストーリーはスタートし、
どうやら1年前に妻を亡くした男性が、巫女の儀式により、
妻と交霊仕様としていると思しき会話の場面。
ただ会話の内容は、時代や方言で何を言っているのかという感じで、
会話自体がミステリアス。

その後、儀式を取り計らっているのが、大阪であることが分かり
キツイ方言は、当時の大阪弁であることもわかる。

妻と交霊したかったが、巫女も不思議に思うほどうまくいかず
後味が悪い状態で儀式が終了する。

その後、男性の家で、大事な妻の遺品(かんざし)や白粉の匂い
亡くなった友人が目撃されたという情報など奇妙なことが起こる。

儀式を取り計らった巫女からは、
亡くなったとされる「妻」の葬式(の内容)を疑われ、
さらに、「魂(霊)を食らう」というエリマキという
存在自体が謎の男性と出会う。

儀式後、和製ホラーっぽく(というか、雰囲気は「死国」そのもの)、
静かな、そして、不気味にストーリーが進み
主人公の男性が徐々に霊におかされていく感じは面白かったが、

これまたよくあるように後半にはいると
雰囲気(奇術で霊を退散させる)が変わり、ちょっと残念。

もっと不気味な状況や、妻との愛情だったり、妻の憎しみだったり
キーとなる家系の呪われた儀式、を深掘りしてほしかった。
結局のところ、妻と男性の恋愛ものだと思うし。

ふと、チャイニーズ・ゴーストストーリーを思い出しましたり。
ジョイ・ウォンにアジアの男性はハマったかと。。(私も)

何はともあれ、次回作に期待。





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