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[日記](読書) MEMORY(本多孝好) [日記]


葬儀屋・森野、長馴染みの神田の恋愛小説3部作の完結、「MEMORY」の感想と記録。
今回も短編連作の形態。いかにも本多孝好らしい。

今回は「MOMENT」、「WILL」でサブエピソードとして森野、神田が語ったシーンを
第3者の視点から改めて思い出している(なので、「MEMORY」だと思う)

1つ目は森野・神田が中学生時代のハナシ。
葬儀屋(お店)と森野を「死神」として追跡した当時小学生(と中学生)が
大人になって二人を思い出す。中学生時代の森野も、大人の森野同様「厳しい」が
ここで森野が「巴投げ」をして自主停学中ということと
それを応援したい(というか森野への片思い)後輩の気持ち、神田がそれを
何気に妨害する行動が語られている。もう一つは、男女の友情、幼馴染カップルが
もう一つ誕生している・・。

2つ目は森野・神田が高校生時代のハナシ。
いじめられっ子の二人(森野、神田ではなく)を中心に
両親を事故で失い悲しむ森野に「どう接していいかわからず悩む神田」。
前作まででは、森野が泣き止むまで「ポケットティッシュ」で寄り添った神田が
語られていたが、そこに至った背景がわかる。
決して、「頭の良い」「頼りがいのある」「なんでもできてスマート」な
神田ではなく、森野に対する複雑な心境や苦悩がわかるような内容。

3つ目は少し過去のハナシ(森野)、で高校時代の部活動時代の友人関係のハナシ。
ソフトボールのエースだった女性が、卒業し就職したもののうつ病を患い、
現在の森野(葬儀屋を継いだ)に出会い、、回復することはないけど
すこし「ホッと」するような内容。中学時代に先生を巴投げしたエピソードにも
触れられている。

4つ目は少し過去のハナシ(神田)、で神田のアメリカ暮し(翻訳、出版関係)のハナシ。
最近亡くなった中年の作家(ゴーストライターが本業となった)の遺作の出版を巡り
その妻との会話を通して、「幼馴染」について語る。

5つ目は現在。森野、神田ファンとしては「納得」の完結。
違う病院に勤める若い看護師と患者、そして「MOMENT」で神田を苦しめた?
「必殺仕事人」の噂を通じて、「死」そして「生」がテーマのハナシ(と思う)
ここでも森野の中学時代の「巴投げ」事件の、森野の事情、神田の行動が語られる。
なんか、すれ違う二人が残念。誠実なんですけど、二人とも。


森野、神田の恋愛小説なのに、二人の恋愛話はほぼない。だから何度も読める。
二人の関係は何となくほっこりするし、残念なんだけど。

その他作品(シリーズ)も、再び読んでみたくなった。


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