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[日記](読書) WILL (本多孝好) [日記]


続いて、本多孝好の「WILL」の感想と記録。「MOMENT」から続く、神田と森野の
恋愛小説でもあり群像物語でもあるシリーズ第2作目。

タイトルの意味は最後に分かる、そのあたりの後読感、余韻を残すのがいかにも
本多孝好らしい。

前作では大学生の神田が、末期の患者の最後の願いをかなえる連作もので、
今回は前作でも登場したぶっきらぼうな葬儀屋の跡取り、森野が主人公で
葬儀屋らしく葬儀を終えたあとのアフターサービスのハナシ、といっても
幽霊騒ぎや、生まれ変わりだったり、大往生のお爺ちゃんの愛人問題の話だったり。

そんな森野自身、高校時代に突然、両親を失い、流れで葬儀屋を継いだものの
どこか両親に対する自問が続いている状態。ちなみに今作は
前作から既に数年たっていて、留学した神田も就職&再就職のアメリカ暮らし。
途中、神田と森野は付き合って、森野はプロポーズもされたのに
いまだ成就していない(というか、森野が断って、宙ぶらりんの状態)

二人の関係はハッピーエンドで今作で終わる、が
どちらかというと、二人の恋愛模様は「おまけ」のような感じ。

森野が事件?を解決しながら、神田と自身の存在を徐々に再確認していく
みたいな内容だと思う。

森野が解決する騒動では、「愛人騒ぎ」が一番好きかな。

前回で好きだった話同様、これも孤独な女性のハナシ。
不倫の末、自殺未遂。自殺未遂後、入院して親しくなった同い年の看護婦。
親しくなったその直後に女性は再び自殺(今回は助からなかった)。
そのきっかけは、ある女性からその女性に向けられた「言葉」。
結果としてそれが愛人騒動に発展するのだが、最後のお墓参りのシーンは良かった。

相変らず本多孝好作品は、「さっぱり」した感じがイイ。
でも、どこか「割り切れない」ところもあったり、単純な解決になっていないけど
なんとなく「ハッピーエンド」というか、「一歩踏み出す」みたいな感じがイイ。

本多孝好作品は、何度読んでもやっぱ面白い。

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