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[日記](読書) カルカッタの殺人(アビール・ムカジー) [日記]

英国推理作家協会賞・ヒストリカル・ダガー賞を受賞した作品、
「カルカッタの殺人」(アビール・ムカジー)を読んだので感想と記録。

カルカッタは2001年に「コルカタ」という現地ベンガル語の呼称に変わっているんで
すね。私が教科書で習ったのは勿論、「カルカッタ」なのでこの小説を読みながら
カルカッタの地理、歴史を調べて今更ながら(恥ずかしながら)知りましたが。
ミステリー作品を読むと、その地域の文化、風俗、歴史、社会問題の勉強になることが
ありますね。この作品はまさにうってつけの歴史ミステリー。

1919年、英国統治下のインド。「東インド会社」習いましたね・・
この作家は英国・ロンドン生まれですが、インド系ということで、自身のルーツでも
あるインドの英国統治時の問題を知ってほしかったのかな、と。

そういう意味では、コルカタ=宮殿都市という意味があるんだなぁ、とか、
その宮殿を作ったのは英国人。でも、決していいこと(だけ)ではなく
英国人のインド人(というかアジア人)への差別、偽善、迫害の状況が
本作品の全編をとうして語られていて、当時の状況が理解できた。
インド人のルーツを持つ英国人としての視点だし、腑に落ちる感じがある。

で、そんな英国統治のカルカッタのインド人街で英国人が殺害され、
インド人によると思われる証拠が現場から発見される。
カルカッタ赴任、わずか数週間で、警部ウィンダムは同僚、部下とともに捜査するが
みつかった状況や証拠が断片すぎて、真実に近づけないまま
インド人活動家をわずかな動機だけで犯人扱いしてしまう。

冤罪確実のインド人活動家の(死)刑が迫る中、
ウィンダムはなんとか真犯人をみつけ、一件落着で、ミステリーとしては
割と普通だったりするんだけど、伏線というか証拠があやふやだったり
怪しい人間が多すぎて最後までどこに落ち着くのか分からないのと
読みやすさが抜群だったり、そして何より、カルカッタの風俗や歴史が面白くて
一気に読んでしまった。

歴史小説だと歴史や風俗の解説なのか、ミステリーなのか、わからなくて
読みづらい小説が多い(と思う)中、この作品は純粋に
警察小説で、主人公や部下、上司、恋人のキャラがよくて
流石、英国のミステリー賞作品だなぁ、と思った。


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