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[日記](読書) 父を撃った12の銃弾(ハンナ・ティンティ) [日記]


続いて米国作家ハンナ・ティンティのエドガー賞最終候補作、
「父を撃った12の銃弾」を読んだので感想と記録。

小説を読み終え、あとがきを読んだところで腑に落ちたというか、理解したのは
「ザリガニが鳴くところ」(デイーリア・オーエンズ)に、どことなく似ている?と
思っていたら、アメリカには「ネイチャー・ライティング」という
アメリカの自然を題材にしたノンフィクションのジャンルがあるということで、
本作品もそれにあたるとのこと。なるほど。

ということで、こちらはマサチューセッツ州のグロスター周辺をベースに
西海岸、内陸、南部など様々な「自然」が要所要所で出てくる。

主な登場人物は以下の通りで、タイトル通り娘・ルーと、父・ホーリーの物語。

父・ホーリー
娘・ルー
母・リリー
祖母・メイベル(リリーの母親)
父の友人(仕事仲間)・ジョーブ

ルーの母親は既に死んでおり、10代になったばかりの娘・ルーと
父・ホーリーはリリーの故郷(グロスター付近)に、祖母を頼りに移り住むが
祖母をはじめ、町の住民からは受け入れてもらえない。

徐々に町の住民からもそれなりに受け入れられ、
ルーも恋をしたりしながら、父との生活を続けていく、という物語と

父親の半生=銃弾をベースに母親リリーとの「出会い」と「死」についての
物語(銃弾#1、銃弾#2・・・・#12)という感じで語られていく。

アメリカのノンフィクション(ミステリー)を読んでの感想は
登場人物に感情移入できないと、まったく面白くないということ。
アメリカ文化も独特だし、人種差別、宗教観など、ピンとこないことも多いし
不愉快に感じることもある。

今回の作品もミステリーというよりも、文芸作品だと思うので
ホーリーや、ルー、リリーに感情移入できるかどうかで
面白さや評価が変わってくるんだと思う。

クライムサスペンスとか、傑作ミステリーとか、感動の長編とか
輝かしい賛辞が沢山かいているけど、どれにもぴったり来ない。

だって、ルーもホーリーもただのチンピラ親子だし、
その仕事仲間も同じくだし、最終的に自分たちのトチった仕事の後始末で
命を失われるみたいな・・・。冷静に考えて「感動作品」ではない。

クライムサスペンス(ミステリー)的な要素は、
つまり、父親とその仕事仲間の「取り立て」だけだし、
取り立て(古い装飾品の運び屋)での銃撃だったり、乱闘が主なので
ミステリーではない。

強いて言えば、「リリー(母親)の死」の原因だろうか。
でも、それ自体も作品全体を占めるわけでもないので。。。。

ただホーリー、ルー、ジョーブ、リリー、メイベルも皆基本的にいい人。
どうしようもなく。

一番面白かったのは、ルーの幼少のころのハロウィンの仮装が
「電動歯ブラシ」(とホーリーがその歯磨き粉の仮装)だったこと。

映画化したら化けそうな作品ですね。
エル・ファニングがルーを演じるみたいな。

面白くないわけでもないし、先が気になるし、
個人的には「ザリガニ・・」よりも好きかなぁ、くらいの作品か。。



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