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[日記](読書) ミラクル・クリーク(アンジー・キム) [日記]


続いて、韓国生まれ(アメリカ在住)のミステリ作家である
アンジー・キムの長編デビュー作「ミラクル・クリーク」の感想と記録。

アンジー・キムは、本書でエドガー賞をはじめ各賞の新人賞を受賞しているし
最近、SF作品をはじめ、アジア系の作家の作品が面白いので
この作品もそんな興味もありつつ読んでみた。

ストーリーは少し変わっている。韓国人の移民一家(ユー一家)が営む酸素治療施設、
「ミラクル・サブマリン」の爆発・火災事故が発生し、患者が2名死亡と1名重症、
そして、ユー一家で実際この施設・治療を担当する父は車いす生活を余儀なくされ
一人娘も昏睡状態(事故後、2か月たち目覚める(頬にきずが残る))に陥る。

物語のイントロダクションでは、ユー一家の妻が、明らかに事件に関与しているが
なぜか、次の章では、犯人は患者の母親の公判に場面転換して
こちらとしては、何が起こっているのか、興味がわくような展開になっている。

それ以降はさほど手の込んだプロットとか、奇想天外なトリックや犯人などの展開は
無いように思えるし、犯人も徐々に読者に予想がつくような作り出し、
犯人も予想の範囲内だと思う。

ただ、この作品が面白いのは、まず韓国文化が要所要所で紹介されていたり
例えば、ガンパパ(家族の米国移民のため、一人、韓国に残って資金を稼ぐ父親)とか
移民後の子供たちの米国文化への馴染む感じとか、日本と同様あるいはそれ以上の
家族の結束や、息子・娘への愛情(しばりつけ)だったり。
そもそも、「酸素治療施設」という題材自体が面白いし。

ミステリー作品を通じて、韓国文化や、米国文化を知ることが出来るのは
得した感じがしますね。

でも、これがリーガルミステリというのはちょっと違うと思うし、
新人賞3冠というもの、どうなんでしょうかね・・・
面白いのは面白いけど。

もし、次の作品があるならば、読んでみたい作家さんではあります。
もっと韓国文化(移民事情)も知りたいし。


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[日記](読書) 運命の日(デニス・ルヘイン) [日記]


デニス・ルヘインの「運命の日(The Given Day)」を読んだので記録と感想。
デニス・ルヘインの作品は、「ミスティック・リバー」に続いて2作品目となる。

「ミステイク・リバー」は、冗長すぎるキライはあったものの、中盤から終盤にかけて
面白かったので、コフリンシリーズの1作目「運命の日」を読んだみたのだが
相変らず特に事前情報も得ずに読んだので、最初は全然ページが進まなかったし、
途中、「催眠」のほうを優先して読んでしまったほど。

舞台は「ミスティック・リバー」と同じくボストンだが、時代が全く異なり
こちらは1917年~1919年のボストン。主人公はボストン市警巡査・ダニー。
アイルランド系の一家に育ち、父は同市警警部、叔父は警部補、弟は地区検事補で
筋金入りの警察一家。使用人に黒人と、数年前に保護したアイルランド人・ノラ。

序盤はこの黒人の使用人・ルーサーが、ボストンに来るまでの話と
それと交錯するボストン時代のベーブ・ルースの話も織り交ぜながら
ダニー一家の生活やダニーの恋愛だったりが、クドクドと・・・という感じで
どこに話が持っていかれるのか良くわからず、前述の通りページが進まない。

・・・が、徐々に話の焦点が、政治活動(共産主義、社会主義)に絞られていき
と当時に人種差別や、テロ、警察の労働環境改善だったり、
ダニーに突き付けられる問題が明確になっていくにつれ、がぜん、面白くなる。

ダニー、ルーサー、ノラが、どんどん深みにハマっていきながらも
お互いを支え合いながら、激動の1年を乗り越えていく。

正直、ダニーの正直さ(というか、愚直なまでに不器用)に
ノラ(恋人で物語中に分かれて、最終的に結婚する)が可哀そうになるけども
最終的に二人で暮らしだせそうなので、ボストン市警のストライキに発展して
しまったダニーの努力もある意味報われたのか・・・なんて。

勿論、フィクションなのでどこまで真実かは分からないけど
ボストンでのストライキや人種差別を扱った本作品を読んでみると
昨今の人種差別の問題は、根深いというか、到底日本人には理解することは
出来ないし、軽々しい発言はできないな、と思う。

・・にしても、デニス・ルヘインの作品は、序盤退屈なんだけども
中盤から終盤にかけて、このダラダラと続く序盤が重要になるというか
この序盤があるからこそ、終盤のストーリーが生きてくるというか。

このあたりは北欧ミステリにはない魅力だと思う。
あちらはプロットに魅力を感じるけど、こっちはストーリーと愛すべきキャラたち。
ドン・ウィンズロウ作品にも通じるだろうか。

逆に同じくアメリカ文学作品の「アンダーワールド」は、登場人物に感情移入できず
中盤で投げ出してしまった。もし、キャラ設定に魅力を感じていたら
「アンダーワールド」も面白かったのかもしれない。あちらも「ベースボール」が
キーになっていたし。

何はともあれ、面白い作品だった。ミステリー作品じゃないと思うけど
中盤から終盤はハラハラしたし、何とか言い終わり方をしてほしかった。

これってシリーズなんですよね・・・続編が読めるのはうれしいけど
あまりにもこの作品が良かったので、逆にちょっと不安でもある。






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[日記](読書) 催眠(ラーシュ・ケブレル) [日記]


こちらも「ミレニアム」以降続く、北欧(スウェーデン)ミステリのシリーズ
「催眠」を読んだので記録と感想。
「ラーシュ・ケブレル」というのは実際は夫妻のペンネームとの事で
匿名で作家活動をしていたらしい。

「催眠」という題材は日本でも小説としても、エンタメとしてもひと昔も
ふた昔も前というイメージがある。昔、プライムタイムでショーをやってましたね。
日本の小説界でも結構ある題材なので、北欧ミステリがどういう感じで
小説化しているのか興味もありました。

物語は北欧ミステリらしく、一人の敏腕刑事(国家警察)・ヨームが
一家惨殺の事件を担当し、奇跡的に命を取り留め入院中の一家の息子・ヨセフから
目撃証言ともう一人の子供で姉のエヴェリンの居場所(情報)を得ようと
催眠の力を借りて強引に引き出そうとするが・・ヨセフから得られたのは
想像を超えたもの。

物語の序盤~中盤は、このヨセフ、エヴェリンがキーになっていて
猟奇的な事件の犯人、その原因は何なのか、ハラハラドキドキする。
下巻に入り、物語が中盤~終盤に入ってくると
この事件で催眠をかけた医師の過去の事件が中心になってくる。
過去、グループセラピーで催眠治療で一定の研究成果をあげていた医師は
その治療にあたっていた女性から催眠による悪影響について告発され、
業界を追われていた。

クライマックスは、ヨセフ、エヴェリンの扱いは減り
催眠というよりも「催眠治療」の事故や、その患者たちが中心というか。
催眠そのものの影響による事件でもなく、その患者の犯罪行為というか。
催眠治療の医師・エリック夫妻のどうでもいい性生活というか。

面白かったけど、物語のプロットが発散し過ぎて、面白さが尻すぼみになった
印象が否めないと思いますね・・・。

もっとヨセフ兄弟や、途中でてきたチンピラ少年たちだったりに
何かに「ふって」おいたほうが、話もスムーズで面白そうだったのですけど。
上巻の意味があまりなくなってしまったのが、残念かなぁ。

まぁ、でも、北欧ミステリ、流石に面白い。





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[日記](読書) 顔のない男(ステファン・アーンヘム) [日記]


北欧ミステリ・刑事ファビアン・リスクのシリーズ第1作・・と言っても全く知らない。
ステファン・アーンヘムの人気シリーズで、この作家はTVドラマの脚本家としても
有名らしいがそちらも実はあまりよく知らない(作品自体は知っているような?)
何はともあれ、そのファビアン・リスク・1作目の感想と記録。

北欧ミステリといえば、「ミレニアム」。ミレニアムと言えば、ストックホルム。
本作品の舞台はスウェーデンではあるが、ストックホルムから西に遠く離れ
デンマークとの国境もちかい、ヘルシンボリという町。

主人公・ファビアン・リスクはストックホルム警察を何かしらの原因でリタイアし
生まれ故郷のヘルシンボリの警察署に再就職。
物語はこのファビアン・リスクが家族と共に引越した初日からスタートするのだが
転職前(配属前)に早速、未来の上司から事件の協力を申し出をうけ、チームに
加わる。・・のだが、そもそもファビアン・リスクは、過去の事件から
家族をないがしろにし、離婚 or 別居・・・の危機を乗り越えるために、
引っ越してきたのに、その引越し初日から、家族をほっぽりだし、
家族には「分かってくれ」的な発言をする。正直、私が家族だったら
こいつは病気だと思う。その後も、チームに迷惑をかけるかのように単独行動。
その言い訳は、「今調査すべきだから」。

確かにファビアン・リスクは色々な状況証拠や、物的証拠から
犯人に近づいていくが、結果的にそれが功を奏したのか良くわからない。

そして犯人の正体も良くわからない。
基礎学校(日本でいうと中学までの一貫教育)のクラスメートについて
クラス関係者全員の記憶にも記録にも残っていないってありえないだろう。

とにかく影が薄く、それが原因なのか、それともそもそも頭がおかしいのか
クラスメートを次々に残酷な手法で殺していく。

最後どうなるのか、どうやってファビアン・リスクが解決するのか・・と
思いきや彼は役になっていない。むしろ、家族を不幸にする、そして
死にかけた息子とは、なぜか心が最後通った?なぜ?
父親=ファビアン・リスクのせい(で死にかけたん)だぞ!!

その息子をすんでのところで救ったのも、
お隣デンマークの刑事が証拠写真をみつけ(ファビアン・リスクも一応関係している)
上司の陰謀(というかクビに追いやられる)にめげずに、ヘルシンボリ警察に
その写真を自ら届けたお陰。

色々な犯人説がでて、脚本家らしく読むものを飽きさせないが
結果として、伏線が回収されたのか、されなかったのか、よくわからず終わる。

一生懸命、面白くしようという心意気は凄いけど・・・というのか
シリーズ化されることが前提にした終わり方なのか・・・

とりあえず、次の作品を読まないと面白さが分からないというか
ファビアン・リスクの言動への疑問は最初からあるにはあるのだが
最後のほんの手前までは面白かったのに、最後の数ページが意味が分からず

あれれ?残念?という不思議な作品でしたね・・・

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[日記](読書) センチメンタル・シカゴ(サラ・パレツキー) [日記]


間髪入れず、サラ・パレツキーの人気女性探偵・V・I・ウォーショースキー・シリーズの
3作目、「センチメンタル・シカゴ」を読んだのでその記録と感想。

前回「レイクサイド・ストーリー」で五大湖の汽船会社と穀物会社の不正を暴いた
V・I(ヴィクトリア)ことヴィックは、今回は、唯一といってもいい親族、叔母のローザから
ローザが会計を務める修道院の株券が、偽造であったこととその調査を依頼される。

因みに叔母ローザと、ヴィクトリアの亡き母は険悪で、今もローザは
ヴィクトリアとその亡き母(ガブリエラ)を目の敵にしている(ヴィックも同様)。

ヴィックは母の遺言(叔母ローザが困ったときには助けるように)のため
しぶしぶ調査を引き受けるが、後日、ローザの息子を通して調査を中止させられる。

と同時に、前作で知り合った保険会社・重役ロジャーとは良い仲になったところ
保険会社の株式が上昇を続け、どこかに買収される可能性があるとの相談を受け
ヴィックの親友アグネスを紹介するが、そのアグネスが殺されてしまう。

そのころから、ヴィック自身にも何者から株券の偽造調査の中止を脅迫されと
その命が狙われるようになる。

前回は前述の通り、五大湖の汽船会社をめぐる事件で
今回は修道院、バチカン、秘密の宗教団体、そして保険会社の買収などなど
ヴィックの知人、友人、親族を巻き込んだ大事件に発展していくのだが

叔母ローザがヴィックやその亡き母を毛嫌いしていることの真相が最終版で判明する。
その事実を叔母ローザから知らされるのだが。

ちなみにローザはどうなったんだろう。物語の真相が判明した時点でショックから
救急車で搬送されたハズだが。
今回殺された友人アグネスの母親(ヴィックを毛嫌いしていた)は
自身の原因により、娘アグネスを殺してしまったことで物語終盤で死ぬ。

さらにこの事件を主導した大司教も誰かに殺されてしまったけど
誰に殺されたんだろう・・・(秘密の宗教団体?)

今回事件そのものは解決した感じだけど、ハッピーエンドではなかったですねぇ・・
モヤモヤも残るし。でも、相変わらずヴィックの啖呵と行動力は凄いですね・・

流石に命を幾度となく狙われ(硫酸を掛けられ、自宅に火を付けられ・・・)
へこたれてましたけど、威勢のよさは最後まで貫いてましたねぇ。

いずれにしても、今回も読みやすかったし、シカゴの地区やストリートも
グーグルマップで検索するのが楽しいし、次回作も楽しみだねぇ。



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[日記](読書) レイクサイド・ストーリー(サラ・パレツキー) [日記]


サラ・パレツキーの女性探偵、V・I・ウォーショースキーシリーズ作品の2作目、
「レイクサイド・ストーリー」を読んだので感想と記録。

前回「サマータイム・ブルース」同様、米国イリノイ州・シカゴが舞台。

全作品では、”V・I”ことヴィックが、依頼人の依頼をもとに失踪、殺人事件から
不正会計を暴いていくが、今回は、「依頼」ではなく、従妹で
元地元ホッケーチームの人気選手、ブーム・ブームの港での転落事故死をもとに
五大湖の汽船会社と、ブーム・ブームが引退後に勤務した穀物会社の不正を
暴いていく。

古い作品なので、女性探偵・ヴィックという設定以外は、さして目新しい設定やストーリ、
プロットに目新しさは無いと思うが、ヴィックの力強さや行動力はスッキリする。

今回は中心が五大湖の汽船会社ということもり、シカゴだけじゃなく、
スペリオール湖のカナダ側の街(港)や、スペリオール湖とヒューロン湖を結ぶ運河も
事件の舞台になる。シカゴもダウンタウン、ノース、サウスシカゴにも及ぶ。

ヴィックはその行動力から、怪しいと考えられる場所に、自ら乗り込んでいく。
文字通り、自身の車で。

今回も真相を探り当てる道中、命を狙われるし、ヴィックは散々な目にあうが、
ダウンタウンの友人の医者や、死んだ父親の友人(刑事)など
ヴィックを叱咤激励し、サポートしていく。

このシリーズが面白いのは、事件そのものよりも
ヴィックとその関係者との会話や行動が小気味よいところだと思う。
ストーリーも複雑なものじゃないし、そのあたりが強調されて読みやすい。

次回作、「センチメンタル・シカゴ」も楽しみ。


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[日記](読書) 宇宙へ(メアリ・ロビネット・コワル) [日記]


ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞の受賞作品「宇宙(そら)へ」を読んだので
記録と感想。読んだ後に知ったのだが、これはシリーズ作品のよう。

メアリ・ロビネット・コワル氏はこの作品以外(同シリーズ)含め
2000年代半ばから作品発表と、数々の賞を受賞している実力派みたい。

で、「宇宙(そら)へ」は、歴史IFというか"歴史改変"というジャンルみたいで
1950年代初頭に、アメリカ東部に巨大隕石が落下し、その影響で
近い将来、地球環境が激変し(温暖化)、地球外を目指す必要がある、という
ストーリーで、主人公がタイトルが示す通り、宇宙開発、月面着陸を目指す。

ただ読んだ感想は、"歴史IF"以外は正直、SFとは感じなかった。
主人公は女性博士(夫はロケットエンジニア、実父は元ロケットエンジニア)で
隕石落下を奇跡的に生き延び、夫共に宇宙開発(ロケット開発)に参加する。
第2次世界大戦時には輸送物資のパイロット経験もあり、次第に計算担当エンジニアから
宇宙飛行士への夢を抱き、宇宙(有人月面着陸)を目指す・・・のだが、

話の中心は、この女性たちの女性軽視や、黒人差別、1950年代の生活だったり
女性のルーツ(ユダヤ人)だったりする。

なので、SF的な、ストーリー上のハラハラドキドキはないし、結果は分かっているし、
この女性の周りには、いい夫、いい家族(奇跡的に隕石衝突から生き抜いた)、
いい友人、いい仲間、そして、都合よく、仲の悪い上司・同僚が少々の
何の変哲もない。

正直、面白いには面白いけど、設定=「歴史IF」「ロケット開発」を除けば
どこかで読んだようなストーリーというか・・・

先日読んだ「地中の記憶」は面白くなく絶賛されていたのが不思議だったが
この作品は、面白いには面白いが複数の賞を受賞するような作品には思えない。
映像化前提の小説なんですかね。

うーん、繰り返しなんだけど、面白いけど、SF作品じゃない・・よね・・



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[日記](読書) 地中の記憶(ローリー・ロイ) [日記]


アメリカの作家、ローリー・ロイの作品で、
アメリカ探偵作家クラブ賞優秀長編賞を受賞している「地中の記憶」を
読んだので、その記録と感想。原題タイトルは「Let me Die In His Footsteps」。

読んだ結論としては、原題タイトルの方がしっくりくる。
わざわざ、訳の分からない邦題を付けるくらいならば、そのまま直訳した
「彼の足元で死なせて」という贖罪めいたタイトルの方が良かったと思う。

また読んだ結論を率直に言うと、「面白くない」。
久しぶりに面白くないハヤカワ・ポケット・ミステリ。
つか、ミステリじゃないと思う、これは。(ミステリが何たるかは語れないが)
最後の方は、ほとんど流し読み。結局なんなん!?っていう感じ。

ストーリーは、1950年代初頭のアメリカ(ケンタッキー?)と
1930年代中頃の同地区(というか、同家族というか)のお話。

古き良きアメリカでは15歳半になると井戸を覗いて将来の旦那を想像する儀式が
あるらしい。1950年代の娘(15歳半)・アーニーもそんな感じで儀式の日に
因縁のある家族・ベイン家の井戸に覗きに、1歳下の妹と赴く・・と死体を見つける。
因みにこのアーニーには霊感があるようで、それは母親である「叔母ジュナ」を
受け継いでいるとのこと。この時点で、「なぜベインと因縁?」
「なぜ叔母が母?」という、突然訳の分からない話だし、「霊感?」とか
日本語訳が悪すぎるのか、そもそもこんな作品なのか、最後まで分からなかった。

1950年・アーニーを中心とした章と、1930年代のジュナ(アーニーの叔母であり母)と
そして、ジュナの姉・サラ(のちのアーニーの母)を中心とした章で構成されているが
突然、登場人物が増えたり、それがまた、1950年代にも1930年代にも登場するので
人物相関が掴みづらい。

そして何よりこの作品が面白くないのは、どうでもいい女子(儀式)トークや霊感トークが
入り乱れ、主題となる話が見えてこない。そして各キャラに全く持って感情移入できない。

確かに冒頭、死体は見つかったけど、とくに怪奇殺人とか、イワクめいたものはないし
1930年代の叔母の話も、変わった女の子(霊感)がめんどくさいというか、
途中、弟が失踪するのだが、見つかるまでの話が長い。
結果、知らない男にシャツが盗まれたとか、ジュナが怪しいとか、どこどこの・・とか
本当にどうでもいい話が続き、結果、どうでもいい人が犯人扱いされたり
どうでもいい人が犯人だったり、やっぱりジュナ(1950年代の)と思しき人物は
お前かい、という感じだった。

どこかで面白くなるのか!?とか、思わず読み返したりするの!?とか
「探偵クラブ」の賞を受賞したんだよね?とか期待も持っていたのだが
最後までそのようなことは無かった。
久しぶりに全く面白くなかった作品で
ドン・デリーロの「アンダーワールド」くらい全く共感できなかった。

1930年代のアメリカの文化だったり、農家の暮らしだったり、コミュニティの
話を中心としているのでアメリカ人読むと共感できるのかな・・・


いやぁ、ないわー。
そもそも「探偵」でも「ミステリ」でもない。
あとがきの方は「絶賛」されていたけどね。

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[NFL] トミー&グロンク、おめでとう [スポーツ]


トム・ブレイディとグロンクの移籍一年目は、なんとSB優勝で終わる。

トムは7度目
グロンクも4度目

NFLを知る誰もが、今年のチーフス、そしてパッカーズの盤石ぶりは揺るがない・・と
思っていたら、カンファレンス決勝でシーズンMVPのロジャース率いるパッカーズに
完勝し、どうやったらキッド・マホームズ率いるチーフスの攻撃を止められるか、と
思っていたら、10度目のこの試合が一番、安定感あるSB勝利だった・・・。

バッカニアーズの戦術は、古き良きフットボール。
攻撃はランはラン、パスはパス。ランが出れば、プレイアクション(パス)は決まり、
ランも止まらないという・・、普通の攻撃で最近当たり前となったランパスオプションは
一切なし。守備も、複雑なラッシュは皆無で、4メンラッシュ中心。

面白いのは、今シーズンのバックスの戦術はペイトリオッツ時代、
苦戦したジャイアンツの戦法によく似ていて
結局、トムとベリチックの頭脳ですら、「当たり前のプレー」が止まらなければ
何をやってもダメ、という至極当たり前のことを突き付けられた苦い思い出。

それでも、今日のKCは少し消極的すぎというか・・・無策だった気がする。
マホームズがケガしているのであれば、もっとクイックパスもあっただろうし
ケルシーのショートパス中心でも、ヒルなんかのスクリーンでも・・と思う。
それ以上にセカンドハーフでのランに対する守備も無策で・・・。

トム率いるバックスが普通の戦術で、落ち着いていたのに対して
KCが勝手に泥沼に入っていた気がしますね。
コンサバ、リードHCの悪いところがそのまま出たと言う事なんだろうか。

にしても、個人成績で、
ペイトリオッツやスティーラーズのSB勝利記録(6回)を抜いたトム・ブレイディ。

この先、出てこない選手(記録)を目の当たりにしている我々は幸せものです。

ブレイディの子供たちの成長を、SBの表彰式で確認できる・・って
この家族、凄いな・・・






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[日記](読書) ミスティック・リバー(デニス・ルヘイン) [日記]


米ボストンの作家デニス・ルヘインの「ミスティック・リバー」を読んだので記録・感想。

この作家は人気シリーズと、非シリーズで「シャッターアイランド」等、
映像化された作品も多い(でも、あまり知らない)。

「ミスティック・リバー」も映像化されていますけど、作家も、作品自体も
全然知りませんでしたけど、なんとなく、ネット検索結果で読んでみたくなった。

1975年、ボストン。11歳の3人の少年たち(富裕層1名、低取得層2名)。
低取得層の2名のうち、1名はいわゆる「手に負えない」。
もう一人は「影が薄く、腰ぎんちゃく」な感じ。

ある日、3人(というか、手に負えない1名の発案)が車泥棒を画策しているところ
「影が薄い」1名のみ、2名の男に誘拐されてしまう(数日後、脱出)。
この事件により、この少年は性的な虐待をうけ、のちの生活に暗い影を落とす。

25年後、3人はそれぞれ、ボストンで結婚。悪ガキは10代で刑務所に入ったものの、
のちに更生、前妻との子(娘)と後妻(娘2名)と暮らす。
誘拐された少年も、高校時代、野球で活躍し、現在は妻と息子と暮らす。
この2名の妻は従妹同士。ちなみにこの妻の親族は、荒くれで犯罪者たち。
もう1名、富裕層だった少年は、州警察官として働き、妻とは別居中。

そして物語は、この悪ガキと前妻との娘が、恋人との逃避行計画の前夜、
何者かに襲われ、近くの公園で死体として発見され、州警察が捜査に乗り出す。
その同夜、かつて誘拐された少年が、血まみれで家庭に戻り、妻には
強盗に襲われた(強盗を殺傷)というが、妻は信じず、とりあえず証拠を隠す。

物語の核は、25年前の少年時代の誘拐事件後の微妙な関係性と、
25年後のこの事件までに送った人生。

強盗に襲われたのは本当か?
嘘であれば、娘を襲ったのか?
嘘でなければ、誰が娘を襲ったのか?

疑惑と、それぞれの人生の描き方だったり、が巧妙で最後までドキドキしながら
読むことが出来た。

最終的に事件は解決するけど、ハッピーエンドではない。
彼らのその後の人生も気になるところですね。






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