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[日記](読書) 運命の日(デニス・ルヘイン) [日記]


デニス・ルヘインの「運命の日(The Given Day)」を読んだので記録と感想。
デニス・ルヘインの作品は、「ミスティック・リバー」に続いて2作品目となる。

「ミステイク・リバー」は、冗長すぎるキライはあったものの、中盤から終盤にかけて
面白かったので、コフリンシリーズの1作目「運命の日」を読んだみたのだが
相変らず特に事前情報も得ずに読んだので、最初は全然ページが進まなかったし、
途中、「催眠」のほうを優先して読んでしまったほど。

舞台は「ミスティック・リバー」と同じくボストンだが、時代が全く異なり
こちらは1917年~1919年のボストン。主人公はボストン市警巡査・ダニー。
アイルランド系の一家に育ち、父は同市警警部、叔父は警部補、弟は地区検事補で
筋金入りの警察一家。使用人に黒人と、数年前に保護したアイルランド人・ノラ。

序盤はこの黒人の使用人・ルーサーが、ボストンに来るまでの話と
それと交錯するボストン時代のベーブ・ルースの話も織り交ぜながら
ダニー一家の生活やダニーの恋愛だったりが、クドクドと・・・という感じで
どこに話が持っていかれるのか良くわからず、前述の通りページが進まない。

・・・が、徐々に話の焦点が、政治活動(共産主義、社会主義)に絞られていき
と当時に人種差別や、テロ、警察の労働環境改善だったり、
ダニーに突き付けられる問題が明確になっていくにつれ、がぜん、面白くなる。

ダニー、ルーサー、ノラが、どんどん深みにハマっていきながらも
お互いを支え合いながら、激動の1年を乗り越えていく。

正直、ダニーの正直さ(というか、愚直なまでに不器用)に
ノラ(恋人で物語中に分かれて、最終的に結婚する)が可哀そうになるけども
最終的に二人で暮らしだせそうなので、ボストン市警のストライキに発展して
しまったダニーの努力もある意味報われたのか・・・なんて。

勿論、フィクションなのでどこまで真実かは分からないけど
ボストンでのストライキや人種差別を扱った本作品を読んでみると
昨今の人種差別の問題は、根深いというか、到底日本人には理解することは
出来ないし、軽々しい発言はできないな、と思う。

・・にしても、デニス・ルヘインの作品は、序盤退屈なんだけども
中盤から終盤にかけて、このダラダラと続く序盤が重要になるというか
この序盤があるからこそ、終盤のストーリーが生きてくるというか。

このあたりは北欧ミステリにはない魅力だと思う。
あちらはプロットに魅力を感じるけど、こっちはストーリーと愛すべきキャラたち。
ドン・ウィンズロウ作品にも通じるだろうか。

逆に同じくアメリカ文学作品の「アンダーワールド」は、登場人物に感情移入できず
中盤で投げ出してしまった。もし、キャラ設定に魅力を感じていたら
「アンダーワールド」も面白かったのかもしれない。あちらも「ベースボール」が
キーになっていたし。

何はともあれ、面白い作品だった。ミステリー作品じゃないと思うけど
中盤から終盤はハラハラしたし、何とか言い終わり方をしてほしかった。

これってシリーズなんですよね・・・続編が読めるのはうれしいけど
あまりにもこの作品が良かったので、逆にちょっと不安でもある。






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