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[日記](読書) 九つ目の墓(ステファン・アーンヘム) [日記]

北欧ミステリ、ステファン・アーンヘムの「刑事ファビアン・リスク」シリーズの
第2作目、「九つ目の墓」を読んだので感想と記録。

1作目でも感じたが、主人公「ファビアン・リスク」に全くもって肯定できない。
1作目は彼の故郷・ヘルシンボリに家族ともども引越し、新たな刑事人生を送るはずが
引越し日、かつ休暇でありながら、そして何より自身の前職・国家警察時代の言動から
子供を不幸にしているにもかかわらず、「捜査が大事だから」と子供や妻に
説明もなしに没頭する。

2作品目はヘルシンボリ引越し前の国家警察時代の話しで
ファビアンが国家警察をやめた理由や、ファビアン(そして妻)の問題により
子供たちが虐げられる話と、過剰ともいえる(北欧ミステリらしい)連続殺人事件の捜査。

ファビアン(と妻)は酷い。
妻不在、子供は小さい(上がまだ13歳)のに、上の子には激高から暴力をふるい
下の女の子はぐっすり寝ているから、ということで深夜に捜査の為、家を不在にする。
というか、美人の同僚にあうためにバーに赴く。
そして後ろめたさから、妻にメール送り「この後、飲まない?」とかないわ。
あげく、美人の同僚に心動かされ、結果、妻には「ごめん、あえない」というし。
この人(と妻)は、家庭を持ったらイケナイひとだね。
節々に自分勝手な言動が目立つ(子供の言葉使いに厳しく、自分たちは罵り合う)

前回同様、デンマーク刑事と国家警察(スウェーデン)との絡みもアリというか
全く異なる事件の捜査をデンマーク、ストックホルムで展開され
かつ、意味不明なパレスチナ、イスラエルの話しありと、訳が分からない。

最終的にはどちらの事件も共通の要因であるものの、良い結末ではなかった。
まぁ勿論、良い結末であれば、ファビアンはヘルシンボリに引っ越さなかったと思うが。

見事なプロットというよりも、過剰な演出と、あらゆること要素を詰め込んで、
当たり前のこと(GPSの位置情報やその他操作方法)をミスディレクションするやり方で
あまり感心するようなストーリーではない気がする。

1作品目も「過剰」なんですよね・・・そこまでする必要ある?という感じで
人が死んでいくし、作者自身が病気か?と勘繰るくらい語る。

ただこの作品が私にとって興味深いのは
デンマークとスウェーデンの文化の違いというか、どちらも相手が嫌い。
実際問題、良くわからないのだが、両国の間でこういう感情があるのね。
日本と韓国、中国のような関係性だろうか。どこも隣国には微妙な感情があるのだろうか。
ちょっとこの辺りは私自身そういう感情をもたないので良くわからないけど・・

あとは北欧ミステリらしく、時事問題を取り扱っているので興味深い
北欧には移民問題がやはり影を落としているのだろう。
何かしらの人気シリーズには必ず登場しますよね、意味問題は。
今回はさらに「臓器売買」が絡んでおりますが。

うーん、あまり好きな作品ではないけど、ファビアン・リスクが気になる。
キライキライも好きなうち、というやつかなぁ。


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