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[日記](読書) このやさしき大地(ウィリアム・K・クルーガー) [日記]


久しぶりにウィリアム・K・クルーガーの新作が日本で発売になりました・・
コークオコナー保安官シリーズも2007年で、ノンシリーズ「ありふりれた祈り」も
2014年ですからね、すでに。

ウィリアム・K・クルーガー作品といえば、ミステリーをベースに
アメリカ先住民族の歴史やアメリカの美しい自然を織り交ぜて
必ずしもハッピーな内容ばかりではないけども、後読感のよい作品が多いです。
この「このやさしき大地(THIS TENDER LAND)」もまさにそんな感じ。

ミネソタ州の先住民族の集団生活を送る教護院で、孤児として白人兄弟が
生活している。兄・アルバートは12歳、主人公のオディは8歳。
教護院を営む院長夫妻のイジメ(というか虐待)に耐えながら4年が経過する。
指導部屋(=お仕置き部屋)に住む鼠や先住民族のモーズ、そして
子供たちに様々な教育や指導をする女性コラーとその娘のエミーとともに
何とか教護院で生活を送っていたが、コラーの悲劇的な死と、
オディに起こってしまった事件(殺人)で、アルバート、オディ、モーズ、そして
エミーは、アルバートの「おば」が住むセントルイスを目指し、
ミネソタ川をカヌーを使った逃亡生活が始まる。

冒頭、成長したと思われるオディがひ孫たちに語る物語のような形で
本書はスタートするが、その物語の中でも、オディが創作する物語が
ひとつのキーとなっていたりする。

兄アルバート、モーズとの関係性が旅と共に変化していく。
オディ自身も思春期にありがちな苦悩、過ちを繰り返す。

いい大人、悪い大人との出会い、先住民族の悲しい史実とモーズの変化への戸惑い
そして、マンケートで出会ったメイベスとの初恋、たどり着いた「おば」との真実。

最後の最後まで、ほんとにドラマチックで面白かった。

哀しい話ばかりでもなく、楽しい話ばかりでもない。
そんな小説のエピローグで語られるその後の人生が何とも心地よかった。

ウィリアム・K・クルーガー版の「スタンド・バイ・ミー」だろうか。
もっと多くの日本人に知ってほしい、作家さんです。



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