SSブログ

[日記](読書) 座席ナンバー7Aの恐怖(セバスチャン・フィツェック) [日記]


海外ミステリ。セバスチャン・フィツェックの「座席ナンバー7Aの恐怖」の感想と記録。

「乗客ナンバー23の消失」が人気作なので、この作品のタイトルもそれっぽい。
ドイツ語(本国)のタイトルは、もっとストレートっぽい。(座席番号7A、みたいな)。

"座席ナンバー"がタイトルにある通り、乗り物、今回は
ブエノスアイレス発、ベルリン着の直通フライト(機内)が舞台となっておりますが

わざわざ"恐怖"とタイトルつけられているので、その"7A"にまつわる・・という感じ
なんですけど、私が想像していた内容とは少し違いました。

最初のシーンは、重傷を負い命が危うい(というか死亡宣告を受けている)患者が
目覚め、会話はできないまでも、コミュニケーションは何とか取れそう、みたいな
状況から始まり、そこから、若い妊婦が誘拐されるシーンに入り、物語が進んでいく。

ブエノスアイレスからベルリンに移動しているのは
この妊婦の父親であり精神科医の男性。
機内で自身が予約していたビジネスクラスの座席"7A"をトラブっていた女性に譲る。

自身は他の座席も"ゲン担ぎ"で予約していたので、そちらに移動したところで
機内通話を通じて、自身の娘が誘拐されたことをしり
犯人の目的は、精神科医のかつての患者でありチーフパーサーを操って
そのフライトを墜落させることで。。

座席ナンバー7Aの恐怖ということで、"7A"に座っている人が
その動けない状況で、爆弾やら、ハイジャック犯やらと戦うのかと思いきや
"7A"というのはあまり事件そのものとは関係なく(少しはある)、
今回は、若い女性(母親とその幼児)が恐怖体験するのか!とも少し違う感じ。

地上では誘拐された娘を探す精神科医のかつての恋人と
機内はかつての患者(チーフパーサー)に精神科医が
トラウマを植え付けるみたいな、展開が続く。

凄く面白いことでもないけども、ページ数も適度で読み易かった。

最初と最後のつながりも、分かり易いし
トリックや謎解きもあまり考えなくても良いし
いい意味でも単純で、適度にハラハラ、ドキドキ。



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) エレファントヘッド(白井智之) [日記]


今年に入って日本の作家さんを読むケースが増えている気がする、、
北欧ミステリも、米国ミステリもなかなか新たな発売(日本で)がないので
読む作品が減ってしまったという事かもしれない、、(残念)

という事で、ネットで評価が高い白井氏の「エレファントヘッド」。
内容も作風も知らずに読んだところ、「エロ」で「グロ」の作品が多いとの事。

本作品も冒頭からその気配がして、読み進めるのが辛かった・・が
何とか本筋に入るまで耐えて読了。
作家さんも、作品の内容も知らずに読んだ割に
基本的には好きなジャンルのタイムリープもの。

精神科でバイトをする青年は精神科医・象山(きさやま)に、通院する高校生を
交際・誘拐している疑いをもち、問い詰めようとするが
その女子高生は、その際、奇妙な「爆発」をして死んでしまう(グロい)。
※実際は、交際・誘拐ではなく「親子」の会話だった

話は象山の過去から現在の話が中心に、そして一家の「朝」が中心になっていく。
象山の両親の父はブームを作った奇術師であり、ブームが去り精神を患い
象山は父から引き離され育つ。母はその過程で、象山自身が殺害している。

象山も勿論、精神を患い、一見、理想的な家族(長女はアイドル、次女は高校生、
妻は女優)に囲まれているが、その実、ドラッグにも手を出しているし
次女に恋をし、そしてそれを紛らわすために、同僚を脅し、「セフレ」を作っている。
自身の理想的な家族を維持するためには手段を選ばない。

そんな無茶苦茶な生活を送っていた象山にほころびが生じ、理想家族を失う。
ドラッグディーラーから買った怪しげのドラッグの2つのうち1つを使用。意識を失う。

そこから、象山は分裂を始める(計5人の象山が登場)。
この場合の分裂は、大脳が生み出す意識のなかで「5人の人格」とのことで

精神が分裂すると、その作用で、片方は5時間の時間的遡行が生じる。
なので、5時間前にとんだ象山は、自身の言動により生じた生活のほころびを防ぎ
理想的な家族を演じることができた。

一方、時間遡行が生じなかった方の精神(人格)である象山の方は
引き続き、最悪な人生(生活)を送ることになり、再び、ドラッグを使用して
精神を分裂させ、時間遡行できた精神(人格)を生み出す。
※片方が、その時点から5時間の時間遡行、一方は引き続き、元の時間の人格

この時点で、象山は、3人生まれたが、一番まともな人格が自殺を図り
その自殺を図るために生まれた時間遡行人格が、もう一人生まれる(計4人)

この時点でシンプルに考えると2つあったドラッグは無くなり
人格は4人となり、時間も4つあることになり
それぞれが、それぞれの時間で生活を送ることになる
勿論、それぞれには、それぞれの状況がある

最悪なことになっている象山(家族崩壊、自身も警察に追われる=逃亡者)
全ての落とし穴を回避した象山(家族円満=幸福者)
最悪をギリギリで回避した象山(家庭崩壊を阻止した=修復者)
自殺を試みて入院中の象山

そもそも「理想の家族」を守るために発生した人格なのだが
全ての時間で
次女が爆発、次いで妻も内蔵を吐き出し、長女も運転中に事故死する。

この時間遡行の副作用として、どこかで対象人物が死んだ場合
その影響として、全ての時間軸の人物が死んでしまう。

なので、象山の「誰か」が、愛する家族を殺したことになり
各象山は、どの象山が家族を殺したのか、物証から推理を働かせる・・という
そして5人目の象山はどうやって生まれたの・・・?という謎で
なんともわけのわからないタイムリープもの。

なんかもう、どこかにほころびがありそうな設定なのだが、読ませてしまうところが
面白かった。

サマータイムレンダのようで、バックトゥザフューチャーのようで・・

気になる作家ではあるものの、レビューでは
「思ったほどエロ・グロじゃない」という意見が多数あるので
他作品に挑戦するのは、ちょっと勇気がいるかも。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) 1 (ONE) (加納朋子) [日記]


加納朋子さんの最新作、「1(ONE)」の感想と記録。

この最新作が読みたくて、先日「ななつのこ」を読んだのだが、最新作であり
デビュー作、「ななつのこ」の続編も面白く読みました。

と言っても、読み始めてから、なかなかページが進まなかったのも事実で
違う作品を読むかたらわで、読み進みていた。

「ななつのこ」は、大学生の女性が
周辺で起こった、小さいな事件を作家へのファンレターをとおして
ヤリトリしていく物語で、最終的にはとある男性と会い
いい意味で煮え切らない感じで終わる、後読感のよい作品だった。

今回の作品では、大学生の女性と自身の飼い犬「ゼロ」との交流から
スタートする。ちょっと最初は、犬同士の会話だったりが先行し
ファンタジー色が強く、苦手な部類だった(ので、なかなか進まなかった)

新入りの家族、「ゼロ」は、先輩犬「ワン」から、自身の飼い主でもあり
家族の一番の下っ端であるレイちゃん(大学生の女性)を守るように
指導を受けている。ちょっと怖い、先輩犬だが、かっこいい先輩として
ゼロは慕っている様子。

ファンタジー色の強い内容(犬同士の会話)に我慢して読み進めると
なるほど、ゼロの正体がわかる。

ゼロの正体が分かったところで、この先輩犬と家族の歴史に移っていく
最初は、レイちゃんのお兄ちゃんの話
そして、レイちゃんの母親をメインに語られていくところで
なるほど、予想していた通り、「ななつのこ」の続編と思しき内容も語られる。


この作品の作者のあとがきにあるとおり、
「ななつのこ」から、時代が変わり、ペットとの関わり合い方も変わったし
人間の暮らしも変わったなぁ、と何とも言えない感じになる。

この作品自体は、とくに万人受けするようなものではない(と思う)けど
加納朋子さんらしい、やさしいミステリー作品で、
読書っていいなぁ、としみじみする。

加納朋子作品は、極悪非道のミステリー作品を読むことが多い私にとっては
スイカジュース(本作品で登場する)のような清涼飲料水ですかねぇ。




nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) をんごく(北沢陶) [日記]


大阪府出身で、英大学で英文学修士課程を習得もしているという
日本人作家、北沢陶のデビュー作(2023年)、「をんごく」の感想と記録。

日本のミステリー・ホラー大賞の、大賞をはじめ3冠をとったということで
出版業界の期待作なのか、表紙もなかなかイイ。

ホラー作品ということで、いかにも日本の「リング」「死国」っぽい感じで
古き良きなのか、いまも和製ホラー作品、こういう感じなのか、という内容。

東京大震災、前後の大正12年。
神道とも仏教ともわからぬ怪しげな儀式からストーリーはスタートし、
どうやら1年前に妻を亡くした男性が、巫女の儀式により、
妻と交霊仕様としていると思しき会話の場面。
ただ会話の内容は、時代や方言で何を言っているのかという感じで、
会話自体がミステリアス。

その後、儀式を取り計らっているのが、大阪であることが分かり
キツイ方言は、当時の大阪弁であることもわかる。

妻と交霊したかったが、巫女も不思議に思うほどうまくいかず
後味が悪い状態で儀式が終了する。

その後、男性の家で、大事な妻の遺品(かんざし)や白粉の匂い
亡くなった友人が目撃されたという情報など奇妙なことが起こる。

儀式を取り計らった巫女からは、
亡くなったとされる「妻」の葬式(の内容)を疑われ、
さらに、「魂(霊)を食らう」というエリマキという
存在自体が謎の男性と出会う。

儀式後、和製ホラーっぽく(というか、雰囲気は「死国」そのもの)、
静かな、そして、不気味にストーリーが進み
主人公の男性が徐々に霊におかされていく感じは面白かったが、

これまたよくあるように後半にはいると
雰囲気(奇術で霊を退散させる)が変わり、ちょっと残念。

もっと不気味な状況や、妻との愛情だったり、妻の憎しみだったり
キーとなる家系の呪われた儀式、を深掘りしてほしかった。
結局のところ、妻と男性の恋愛ものだと思うし。

ふと、チャイニーズ・ゴーストストーリーを思い出しましたり。
ジョイ・ウォンにアジアの男性はハマったかと。。(私も)

何はともあれ、次回作に期待。





nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) ななつのこ(加納朋子) [日記]


加納朋子さんの「ななつのこ」の感想と記録。

加納朋子さんの作品は、若い頃「いちばん初めにあった海」を読みハマってしまい
次々に読んだ記憶がある。

ミステリー作品ではあるものの、凶悪な事件や不幸を扱っているわけでもなく
敏腕刑事や、特殊能力、チームが出てくるわけでもなく
ありふれた日常の、ありふれた謎だったり、そして誰にでも起こる不幸だったり
最終的には主人公や登場人物たちは、良い方向に向かっていく。
ハッピーエンドというよりも、"良い方向の結末"、という感じだと思う。

「ななつのこ」を読んだのも凄く昔だったので、そもそも覚えていなかったのだが
今年、なんと、20年数年くらいぶり?の「続編」が出たということで
思い出すために、何度目かであろう「ななつのこ」を読んだみた。

案の定、全く覚えていなかったのだが
昭和、平成の時代の大学生・駒ちゃん(女性)が、小説「ななつのこ」の作者に
ファンレターとして日常の「謎」を送ったところ
その作家さんから「謎」を解明する答えが、返信として送られてきて
駒ちゃんと作家さんの交流が始まる、というストーリーであった。


加納朋子さんらしく、ちょっと笑える謎だったり、ちょっと切ない謎だったり
ラブストーリーに発展しそうで、どこか間の抜けている駒ちゃんだったり
解説に書かれている通り「すがすがしい」作品で、後読感が非常に良い。

万人受けするか、と言われると、インパクトに欠ける内容かもしれないけど
好きな人にはタマラナイそういう作品だし、作家さん。

だからこそ、20年ぶり?に続編が出るんだと思う。

続編はどんな感じなんだろうか。
駒ちゃんが再び登場か、スマホやネットの無い時代から
現代の社会情勢を反映した内容になっているのか、読むのが大変楽しみ。







nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) 傷を抱えて闇を走れ(イーライ・クレイナー) [日記]


イーライ・クレイナーの南部ノワール作品「傷を抱えて闇を走れ」の感想と記録。

この作品の解説を読んでアメリカには、
"南部ノワール"というジャンルがあると初めて知りました。

解説では、北欧ミステリに通ずるものがある(それに匹敵する人気を博すかも)と
ありますが、なかなかどうでしょうか、、。
この解説でも何冊か紹介されている作品は私も読んでいる作品ではあるのですが
なかなか万人受けするのは難しいのかな、と思います。

ただデニス・ルヘイン作品でもあるように、アメリカでも
人種差別、移民問題、暴力、性差別、そして貧困を取り上げた作品も多く
またエンタメとしても面白いので、日本でも人気になってほしいし、
ウイリアム・K・クルーガーの作品のように、アメリカの自然だったり家族だったり
良い面もしっかり伝えている作品があったりするので、そちらも人気になってほしい。

ということで、この作品はアメリカ南部、アーカンソー州のとある超田舎の話で
アメフト(ランニングバック)の才能は抜群だけど、超問題児(超問題家族)ビリー、
そしてその新任コーチ、その家族の交わりがメイン。
新任コーチ・トレントは、ハリウッドと呼ばれカリフォルニアから移住してきたが
そもそも前職では、成績不振で解雇、逃げるようにこの地に来て
そして妻と一緒に、再びコーチ職で復活を目論んでいる。

その為、この素行の超悪いビリーを何とか試合に出場できるまでの日常に戻したいが
とにかく、このビリーとその家族は問題だらけで、そんな中、
ビリーの事実上の養父(母親の恋人)が、何者かにより殺される。

養父も勿論、「最悪」な人物で、
喧嘩(というかビリーへの虐待)を発端に、ビリーが殺してしまったか、
みかねた母親が殺したか・・・、という嫌疑と、町中の噂になる。

一方でその養父が死んだ日、コーチ・トレントは妻からビリーを諭すように言われており
なぜか、早朝、トレントが自家用車を洗車しており、妻が怪しく思う。

トレントは嫌疑がかかったビリーを庇い、自身の家にかくまうが
そこには、トレントの自慢の妻と娘もおり、妻がビリーの素行の悪さから
娘との関係性を危ぶむ。そして、ビリーと娘・ローナは「読書」をきっかけに
親しくなり・・。

結局のところ、だれもハッピーになっていない結末で
一瞬だけ、ビリーの更生と未来が見え隠れするのですが、
コーチ一家は残念な結末ですし、ビリー、そして母親も決してハッピーじゃない。

特にこの母親の言葉が悲しい。
これが息子にできる最大限だった、という・・・

つまり最悪なボーイフレンドと付き合い、なんとかお金を工面し
その結果として、そのボーイフレンドから自身も、そして家族も虐待を受ける
それが最大限(のしてやれること)

ちなみにこの作品は、アメリカの新人賞(MWA)をうけておりまして
こういった社会(生活環境)を鋭く描いているようです。

決して後読感が良い作品ではないですけど、興味深い作品ではあります




nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) 疑惑の入会者(アリスン・モントクレア) [日記]


ロンドン謎解き結婚相談所シリーズの最新作「疑惑の入会者」の感想と記録。

今回は本編と短編あわせて、500ページ強のボリュームのある内容になっていて

作品冒頭、アフリカと思しき湖で、蒸気船に乗船する20代後半の男女の会話と
その後に訪れる蒸気船の沈没、女性の死で幕を開ける。

同時期、ロンドンでは、スパークス、グウェンが共同で営む結婚相談所に
ひとりのアフリカ系の男性が入会してくる。

グウェンは人種に配慮しながらも、相談所の説明するが
この男性が、基本的に「嘘」を喋っていることに気づき、警戒をする。

またグウェンの内なる敵、義父がアフリカから1日前倒しで帰宅し
義母、使用人、そして勿論、グウェンの険悪な状況に陥る。

義父は、義母ともロクにコミュニケーションすることなく
自信が営む経営陣と内輪のクラブに夜な夜な出かけ、戻ってきても
再び、身内や使用人とぶつかる毎日を送る

そしてクラブに出向く車中でグウェンとともに義父は誘拐され
その事態に、義母は、さまざまツテで事件を解決きたスパークスに
グウェンそして義父の救出を依頼する。

"ツテ"は勿論、ギャングの親玉で、スパークスの恋人アーチ―のことで
結局、アーチ―の存在や、スパークスを手伝う用心棒サリーの活躍もアリ
グウェンは脱出(解放)、そして義父も・・・

なんですけど、この第3巻は事件解決そのものよりも
グウェンの亡き夫との間で生まれた、最愛の息子ロニーの監護権な度を巡る
義父との闘い、そして義父がアフリカにいる間に散々な目にあわせられた
義母との仲直りの話がメインだと思う。

実際、読んでいる途中で誘拐犯の真犯人はおのずと分かるし
新規の入会者も、冒頭の蒸気船事故の関係者だと想像つくし・・・で
最低な義父ではあるという感じ。

とにかくこの3巻は、スパークスやグウェンの友情がさらに進んでいるし
アーチ―、サリーの脇役も相変わらずイイ感じ。
グウェンの義母も、すっかり、彼女たちの仲間になっているし、
各キャラの人間関係が素晴らしい。

ちなみに短編のほうは、スパークス、グウェンが空きオフィスに
忍び込んで愛でていた「机(の抽斗)」をめぐる内容。

それもそれで、彼女たちの会話が魅力の作品でもあるので十分楽しめた。
次回作以降も楽しみに待ちたい。


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) ザ・マッチ(ハーラン・コーベン) [日記]


ハーラン・コーベンの「ザ・マッチ」の感想と記録。

マイロンシリーズが尻切れトンボ的に、日本では翻訳されていないなかで

本作品は「森から来た少年」の続編となっている。


高年の女性弁護士でもあり、事件を扱ったTVでも活躍しているへスター
そしてその息子と幼き日に出会い、友情をはぐくんだワイルド。
ワイルドは、幼少期に森に捨てられ、森で少年期まで自活していた過去を持つ。
現在はへスターの「調査員」も兼ねつつ、森で自活しながら
かつて友情をはぐくんだへスターの息子夫婦(と言っても息子は事故で死亡)を
見守りながら生活をしている。

タイトルの通り、今回はワイルドが、自身の両親を探すために登録した
DNAサイトで、「はとこ」と、そして父親を探し出したことからストーリーが動き出す。

ハーランコーベンらしく、それだけではなく
ダークネットの「ブーメラン」と呼ばれる自警団グループの活動も
ストーリーに絡み合っていくし

今時の作品らしく、リアリティ番組、そしてその出演者の言動なんかも
ストーリーに大いに関係していく

さらにワイルドの父親、そしてハトコを巡り
様々な事件や陰謀などなど、クライマックスにむけてドンドン加速するので
一気読みできた。さすが。

へスターと、恋人のオーレンとの関係にひびが入りそうでしたが
なんとか持ちこたえ、
ワイルドとかつて友情をはぐくんだへスターの息子の妻との関係は
将来につながったので、一応、ハッピーエンドかもしれないけども

そのへスターの息子の息子の事故死については
この作品では、ワイルドからへスターへ明かされることは無かったので
次回作もあるのかもしれない。

とにかく、ハーランコーベン作品はどんどん日本でも発売してほしいけど
なかなか、日本での知名度は低いので、難しいかも。


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) 王女に捧ぐ身辺調査(アリスン・モントクレア) [日記]



アリスン・モントクレアの「ロンドン謎解き結婚相談所」シリーズの第2弾、
「王女に捧ぐ身辺調査」の感想と記録。

英語タイトルは、「A Royal affair」なので、もっとネタバレ的なタイトル。

今回もロンドンの結婚相談所を営む元スパイのスパークスと、その共同経営者であり
友人の上流階級、グウェンが、とある事件の解決に導く・・・

といっても、タイトルの通り、第2次世界大戦終結後のロイヤルファミリーの
何かしらの身辺調査というのはタイトルからわかりますし、
さらに「Affair」とあるので、何かしらの「男女関係」が絡むのも予想がつく。

内容はその通りで、前作(の事件)から1か月程度経過した彼女のたちの元に
グウェンのいとこでもあり、エリザベス王女(当時)に使える女性が訪ねてくる。

そこで、その王室あてに届いた手紙(金銭を目的とした脅迫状)をみせられ
その調査を受けることになる。

今回は前回の作品とは違い、スパークスの暗躍というかが、微妙に隠されて
最後に一気にネタバレという展開で、読んでいて「あれ?」って思うところが
いくつかあったが、最終的にはスパークスのスパイ活動(スキル)であったことが
明かされる。

またグウェンとの会話や行動、デートやダンス、恋人候補を巡る会話は
大変魅力的で、夫を亡くしたグウェンの心情、息子のロニーへの愛、などなど
彼女たちの心理面の変化や背景の描写も面白い。

最初のほうで展開される、サリー(二人の用心棒)の趣味の演劇(練習)が
クライマックスの謎解きシーンにつながるし
捜査の段階でも、端役まで丁寧に役回りがあったり、前回登場したもと偽造屋や
ギャングの親玉(スパークスの恋人(候補))も良い感じだし、

美味しいシリーズになっているかな、と思うので
第3弾を早く読みたいし、彼女たちが幸せになってほしいと切に願う作品ですねー

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

[日記](読書) ロンドン謎解き結婚相談所(アリスン・モントクレア) [日記]


アリスン・モントクレアの人気シリーズ、「ロンドン謎解き結婚相談所」の感想と記録。

タイトルの通り、なんのヒネリもなく、結婚相談所に入会した女性が殺されたことで
結婚相談所の経営者(2名)が捜査を進める物語。

面白いのが設定とキャラで
時代は第2次世界大戦終戦直後で、まだまだ戦時中の名残があるロンドン、
結婚相談所を起業したのが、貴族の一族で5歳の息子をもつ1児の母(未亡人)グウェン、
元英国の女性スパイ、アイリス
そして、そのアイリスの用心棒的存在のサリー(男性)。

アイリスの過去を追う記者だったり、愛人関係の軍人だったり、スパイ活動時の
上司だったりの会話で、アイリスの過去が徐々に語られるが謎多き女性
そのスキルを活用して、殺された女性の犯人を追う。

相棒のグウェンは、名家ではあるものの、夫が戦死したことで
一時、精神病を患い、そのことで息子の監護権を、義理の母・父に奪われ
現在は退院し、義父母と息子と暮らすものの監護権はなく、肩身の狭い状況

この結婚相談所を営むことで自身の完治、そして監護権(養育権的な)を
再び手に入れたいと考えている

事件そのものは、彼女たちのお客が犯人として逮捕されてしまったため
警察の捜査は終了してしまったが、彼女たちの結婚相談所の人気がガタ下がりし
また、客の無実を信じる彼女たちにより、真犯人が浮かび上がってくる、みたいな
内容としても、タイトル通り、特にヒネリはない。

ただグウェン、アイリスの会話も面白いし、戦後のロンドンの配給制度だったり
階級社会だったり、何よりも彼女たちが生き生きしていて楽しい。

シリーズなので、今後もチョイチョイ読んでみたい。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ: