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[日記](読書) 入れ子の水は月に轢かれ(オーガニックゆうき) [日記]


沖縄を舞台にしたミステリー作品、オーガニックゆうきの
アガサクリスティ賞受賞作品、「入れ子の水は月に轢かれ」の感想と記録。

沖縄を舞台にしているので、方言、歴史、沖縄文化の要素が濃い。
ミステリー作品は、特に外国の作品は、
舞台となる国、都市の地理や歴史、文化、価値観を理解するのに役立てるし
単純に知らないことがストーリーを通して簡単に学べるので助かる。

今回は日本ではあるものの、独特の歴史を持つ沖縄が舞台なので
沖縄の歴史がそれとなくわかる。

物語は、ラーメン屋を開店したばかりの青年と、年配の友人(男)と
詐欺(ゆすり)を目論んでいる年配の男女のうち、男が溺死体で発見され
そこから、もう一人の女性、さらに…という感じで
徐々に溺死体の謎、このラーメン屋がある商店街(沖縄)の歴史、
さらにそれを取り巻く人間関係の謎、などなどが絡み合っていき
最期に謎が解ける。

まぁ、それ自体ミステリー作品としては普通だし、
正直にいうと沖縄文化(歴史)に興味があったり、地理に詳しかったりすると
ドンドンのめり込んでいくとは思うけど、それ以外の人には
ちょっと冗長すぎるようなセリフ、説明、構造になっていて読みづらいと
私自身は感じた。

詳細な謎ときは勿論、最後で明かされるけども、なんとなくわかる展開だし
ラーメン屋の青年が中心に謎を解くという展開も、ちょっと都合が‥という感じ。

ただこの作家さん自身、沖縄の出身なのでミステリー作品としては実は二の次で
沖縄の開発の歴史だったり文化だったりを広めたいというモチベーションの方が
大きかったのではないかと想像したりする。

作家さんとしては、この次の作品が楽しみでもある。
自身のルーツ(沖縄)にこだわった作品を生み出すのか、
それとも、全く違うテイストの作品で勝負するのか。

個人的には沖縄を舞台にしてほしいものの、もっとミステリー単体としても
十分面白い作品にしてほしいな、と思う。

まぁ、この作品が面白くないわけではないのだけれども
どちらかというと、「沖縄」というキーワードが比重が大きいと思う。



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