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[日記](読書) 影のない四十日間(オリヴィエ・トリュック) [日記]


フランス人ジャーナリスト、オリヴィエ・トリュックの小説デビュー作、
「影のない四十日間」の感想と記録。

本作品の特徴は北欧ラップランド、サプミのサーミの歴史・文化を取り扱っていること。
この作家さんはフランス人だけど、ジャーナリスト時代に20年ちかく北欧特派員として
従事した過去をもち、恐らくその時にこの作品のテーマを思いついたんでしょうね。
各国のミステリー作品を読むと、知らない民族、風俗、歴史に出会えるのが嬉しい。

ミステリー作品としては、特に面白くもないのですが、この作品を読むと
北欧(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)のイメージが少し変わります。
確か他の作品で第2次世界大戦化の北欧を扱ったスパイ小説がありましたけど
北欧って、今私のイメージでは「平和」「福祉」「自然豊か」みたいな
良いイメージですけど、歴史を紐解いたり、現状の社会問題を鑑みると
そういう表面的な印象とは違うものが見えてきたりもします。
どの国も何かしら、「闇」があるんだなぁ、と。(日本も然り)

そしてこの作品ですが、サーミ人、サーミ文化が大事にしている「太鼓」が
テーマになっています。主人公は北欧、3か国にまたがるラップランドの
トナカイ管理をつかさどる特殊警察の二人。

"カウトケイノ"で新たに発見されたサーミの「太鼓」が盗まれ、と、同時にトナカイ
所有者の死体が見つかる。特殊警察の二人は、盗まれた太鼓とこの死体の関連性を疑い
捜査を開始。

一方で、フランス人地質学者がラップランドに眠るとされる「金鉱」を調査。
太鼓、トナカイ初秋者の死体、金鉱、そしてサーミ人の悲しい歴史が
クロスオーバーしながら、事実が明らかになる。

前述の通り、正直とくにこの二人の魅力も感じなければ、その他登場人物や事件の謎解き、
展開にも特に独創性、魅力的には感じなかったけどもこの作品の魅力は、
ラップランドの自然(現象)、サーミ文化の紹介に尽きると思う。ネットで調べれば、
作品の最大の謎であり、キーアイテムの「太鼓」がどういったものか何となくわかるし、
サーミ人が着る民族衣装も非常に魅力的。

先住民の悲劇はどこの大陸、国でも同じなんですかね・・
日本も丁度、流行っているゴールデンカムイで取り上げられているように
アイヌ民族の方々について、もっと知ったほうがいいのかな、と思うし
この漫画が、その一つのきっかけになればなぁ、と、この小説とは直接関係のない
ことだけど、そう願ってみたり。

ちなみに、このトナカイ警察はシリーズなんですねぇ。
次回作も気になるところです。

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